鶯宿
おうしゅく
芦川集落物語
―かぶと造りの来た道―
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笛吹市南部の芦川沿いには4つの集落が並び、いずれも伝統的な景観を残しています。そのうちかぶと造りの民家が最も多いのが鶯宿です。 |
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【1】屋根が途中で切り落とされたかのような外観。養蚕を行った屋根裏の通風・採光のためのもので、その姿からかぶと造りと呼ばれます。 |
鶯宿は旧芦川村で最も下流にある集落で、甲斐と駿河を結ぶ中道(なかみち)往還に近いことから、宿場町としても栄えました。集落の家は寄棟造りか入母屋造りで、屋根の端を切り落としたかに見える外観が特徴。養蚕にかなうよう、屋根裏に光と風が入るようにしたものです。 | ![]() 芦川沿いに広がる鶯宿集落 |
![]() 鶯宿のかぶと造りの民家 |
こうした民家をかぶと造りといいます。従来の農家を改築して生まれたものですが、実際のところ、屋根を切り落としてつくられることはまれ。建築構造にも影響するため、大棟を突き出して屋根を付け足すのが一般的でした。 |
養蚕の普及と歴史を同じくしているため、かぶと造りはそれほど古い形式ではありません。しかし、いつ、どこで発祥したのかは不明です。分布の中心は富士川流域で、南関東の山岳部、東京湾岸、栃木・茨城・福島の山間部にかけて断続的に存在したことから、富士川流域に端を発し、各地へ伝播したと見られています。 | ![]() 屋根の片側だけをかぶと造りとした家 |
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鶯宿のある芦川も富士川の支流であり、あるいはこの付近がかぶと造りの発祥地なのかもしれません。かぶと造りは芦川の4集落すべてで見られますが、中でも鶯宿は60棟と現存数が最も多く、もしかしたら日本最大のかぶと造りの集落かもしれません。 |
![]() 石垣を組んで傾斜地を整地し、家や小屋を建てる |
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![]() 芦川最古の寺院、本国寺。大永3(1523)年創建 |
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