古宇利
こうり
邪気を払う工夫
沖縄島からわずか1.3キロの沖合いに浮かぶ古宇利島は、山の斜面に曲がりくねった路地が延びる古い集落景観を残します。道の分岐点には魔除けの道標、石敢當(いしがんとう)が置かれています。 |
【1】古宇利の道路は大きく湾曲しているのが特徴。「直進する」とされる邪気を払うためです。 |
沖縄の集落は道路パターンによって、「不整然型」と「碁盤目状」の2種類に分けられます。両者を隔てているのが乾隆2(1737)年に導入されたとされる地割土地制度。これ以降に成立もしくは再整備された集落では碁盤目状の区割が行われました。古宇利の道路網は「不整然型」で、伝統的な沖縄の集落景観をよく残しています。 |
曲線の多い古宇利の集落景観 |
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伝統的な集落に直線道路がないのは、「邪気は直進する」という中国由来の風水思想に基づきます。邪気を防ぐため、集落の道にはあえて曲線を多用し、交差点も食い違いにするなどの工夫が凝らされました。そして丁字路の突き当たりや家の入口には石敢當という魔除けを設けます。石敢當じたいは沖縄で広く見られるものですが、古宇利では一般的な琉球集落に比べはるかに多くの石敢當が設置されており、約6.3戸に1基という割合だといいます。(しかし沖縄の平均値は分かりません) |
古宇利はいまなお古い構造を残していますが、「沖縄の集落」と聞いて連想する赤瓦はほとんど見られません。沖縄北部は戦前からセメント瓦が製造された土地ですから、早くから置き換えられていったのでしょう。 |
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また、サンゴ石の石垣をもつ家も見あたらず、ほとんどの家がブロック塀で土地を囲っています。古宇利島はさえぎるもののない平坦な島であるため年間を通して風が強く、早くから新建材としてブロックが導入されたのかもしれませんね。 |
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舟小屋に木造船が格納されていた |
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2014年7月5日撮影 |