伊是名
いぜな
畜舎は主屋に並び立つ
伊是名島の南にある伊是名集落は、重要文化財の銘苅(めかる)家住宅を筆頭に、赤瓦の古民家が多く残る場所。主屋とともに長屋風の豚小屋が存在感を発揮する、独特の集落です。 |
【1】沖縄の伝統的な家は分棟型。この平入りの建物が主屋です。 |
沖縄島北部の国頭(くにがみ)山地に並走するかのように、琉球国時代「伊平屋(いへや)の七離れ」と呼ばれた7つの島が並んでいます。当時は冬の北風と夏の南風を利用した海上交易が行われ、海が荒れたときにはこれらの島が避難場所となりました。その中の一島が伊是名島です。 |
村営フェリーの行く手に姿を見せた伊是名島 |
沖縄島に対峙する伊是名の集落 |
伊是名島は沖縄の離島の中でも、とりわけ豊かな歴史に彩られた島。何しろここは、琉球諸島を400年以上にわたって統治した第二尚氏の始祖・尚円王の生まれ故郷なのです。 |
集落の北には王国時代の役人住居、銘苅家住宅があります。銘苅家住宅で驚くのが、立派な畜舎をもつこと。主屋の西に、主屋と同じ琉球瓦葺きで、堂々たる姿を見せつけています。 |
銘苅家住宅 |
銘苅家住宅の畜舎。長さは10メートル以上あろうか |
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実は伊是名島ではかつて養豚が盛んに行われていて、こうした畜舎が数多く建てられたのです。昭和50年代まではサトウキビを中心とする農業、畜産業、漁業の3つの一次産業のいずれかに、住民の大部分が従事していました。しかしいまでは畜産業はほとんど行われていない様子で、朽ちかけた畜舎も見かけました。 |
畜舎が存在感を主張する伊是名は、集落景観も伝統的な姿を保ち、沖縄北部では貴重な存在です。新建材による建物やビルは見られず、サンゴ石の石垣やフクギの屋敷林もよく残されています。集落の規模も大きく、国の重要伝統的建造物群保存地区に匹敵する家並みだと感じました。 | 伊是名の集落景観。伝統的な琉球瓦の家が多い |
フクギの屋敷林も立派だ |
家を取り巻く石垣にはサンゴ石が使われている |
2014年7月5日撮影 |