細島
ほそしま

入江を背に商家は並ぶ

細島はかつて東九州の海上交通の要衝であり、日向市で最も栄えた地域でした。街道沿いに古い町並みを残しながら、いまなお重要な港町として機能し続けています。

【1】細島は奥行き2キロの湾内にあります。古来、海上交通の難所だった日向灘では貴重な港です。
【2】江戸時代には交易船が出入りしました。往時の繁栄をしのばせる商家が散見されます。
【3】地区の最も東にある東部集落は、丘陵地に展開する漁村ですが、近年は家屋の老朽化が問題となり改良が進められています。

日向市中心部から東へ3キロの細島は、江戸時代より天然の良港として栄えた町です。とくに日向、大隅、薩摩の諸大名が参勤交代の折、ここから船で大坂へ向かうことが多く、本陣も置かれていました。現在でも高鍋屋、飫肥(おび)屋、薩摩屋など、藩名の屋号をもつ家が残されています。


旧高鍋屋旅館(右)

そのうちの1軒、高鍋屋に、1921(大正10)年に建てられた旅館が現存しています(現在は資料館)。平入りの商家が点在する町並みにあって、ひときわ目立つ木造3階建て。往時の細島がいかに栄えたかを物語っています。

明治時代に入ると細島と関西を結ぶ定期船が就航。米や木材、木炭を積み出し、衣類や食料品が搬入される港町として栄え、旅館や遊郭なども建ち並びました。その後は国際貿易港となり、今日も宮崎県で唯一の税関を所有する重要港であり続けています。


海岸線に並走する旧道に古民家が残る


【住所】宮崎県日向市細島(地図
【公開施設】細島みなと資料館(旧高鍋屋旅館)
【参考資料】
『角川日本地名大辞典(45)宮崎県』角川書店、1986年

2015年5月7日撮影


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