下時枝
しもときえだ

門前町の残り香強く

日本の三善光寺に数えられる芝原善光寺。その門前に、切妻の商家が連なる門前町の名残が見られます。

【1】道の突き当たりに山門が口を開けます。平安時代に創建された芝原善光寺です。
【2】切妻造りの商家風の建物が並んでいました。この家は妻入りで板塀を巡らせていました。由緒が気になります。
【3】古い町並みは参道と、参道に直交する道の双方に見られます。江戸時代に旗本陣屋が置かれたという史実からも、当時の町の規模がうかがえます。

芝原善光寺の創建は天徳2(958)年、空也上人によって開かれたと伝えられています。芝原とは下時枝を含む広域地名で、別名を豊前善光寺といい、信濃善光寺、甲斐善光寺とともに三善光寺に数えられています。本堂は、江戸期の再建である信濃・甲斐よりだいぶ古く、建長2(1250)年の建立。国の重要文化財に指定されています。


布教堂にある開〓(かいぱん)〓は木へんに邦

芝原善光寺本堂

山門から参道を見る

門前には元禄12(1699)年に時枝陣屋(旗本小笠原氏陣屋)が開設されましたが、この建物は現存しません。場所は山門から南へ300メートルほどの場所になります。
古い町並みは現在、門前周辺の限られた地域に展開しています。いわゆる「門前町」としての喧騒とは無縁で、茶屋や土産物屋などはなく、どの家も住居として使われている様子です。


参道に直交する町並み


参道に直交する町並み


むしこ窓の残る家。1階の窓枠もおしゃれ


参道に残っていた平入り商家


【住所】大分県宇佐市下時枝(地図
【公開施設】なし
【参考資料】
『角川日本地名大辞典(44)大分県』角川書店、1980年

2015年5月5日撮


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