安心院
あじむ
受け継がれる鏝絵の伝統
安心院は鏝絵(こてえ)の町として知られ、町内に江戸・明治期の作品が点在しています。平成に入り、現代の作家による「新鏝絵」もつくられるようになりました。 |
【1】古い商家や造り酒屋が点在する安心院の中心部の本町通り。 |
大分県は古くからすぐれた左官職人を輩出した土地で、彼らが残した鏝絵の集積地として知られています。中でも旧安心院町(合併により現在は宇佐市)には約70点の歴史的な鏝絵が現存し、「鏝絵の町」として観光PRを行っています。 |
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妻壁に鏝絵がある。明治20年代 |
鏝絵とは、しっくいでつくったレリーフ装飾のこと。安心院の鏝絵はしっくいに顔料を混ぜ込んでいるため、屋外に飾っても色落ちすることがありません。これが、古い鏝絵がたくさん残された理由です。鏝絵は雨戸袋などに施されることが多く、家が解体されても鏝絵のみを切り取って保存するケースが見られます。 |
移設保存された鏝絵。明治時代 |
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鏝絵の伝統は現在も受け継がれており、町内には現代の作家が手がけた「平成の新鏝絵」もたくさん見られます。造り酒屋、床屋、印刷屋など、それぞれの業態を表すモチーフを雨戸袋などに飾り、各家には作品名と製作年、作者名を記した案内板まで設置されていました。 | 理髪店の鏝絵。2004年、江藤智子氏 |
農機具販売店の鏝絵。2004年、石田覚蔵氏 |
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うれしいのは、現代の作家のほとんどが、旧安心院町や宇佐市の出身者であること。当地の鏝絵技術はこれからも安泰のようですね。 |