湯本浦
ゆのもとうら

格子が卓越する集落

湯本浦は壱岐島で唯一の温泉郷。現在、7軒の旅館が集まる観光地ですが、旅館街の南側に古い町家群が残っていました。

【1】目の細かい格子をはめた家が並んでいます。
【2】数十センチの土台を築いているのは、沿岸部で高潮の危険があるためでしょうか。
【3】上端部の桟の少ない、変わったデザインの格子も多いようです。
【4】ツシ2階で開口部の少ない閉鎖的な家が多くありました。町並みとしては、近畿や瀬戸内の在郷町のような印象です。

湯本温泉は神功皇后の朝鮮遠征のときには知られていたと伝わる古い温泉。旅館街は県道59号線の北の湯本湾岸に形成されていて、県道より南に古い町並みが残されています。

古い町並みを演出する格子
当地の家並みがどのような起源をもつものかは分かりませんが、ツシ2階建ての平入り民家が並んださまは本土の在郷町を思わせます。外観では格子をもつ家が多く、2階の開口部に入れたものもありました。数のうえではほとんどが千本格子ですが、上半分の桟の本数が少ない格子も散見されました。これとよく似た格子は、同じ長崎県の平戸島の伝統的な様式です。関係があるのかもしれませんね。

2階が飛び出た家。この家の格子も途中で桟が減る


旧市街地には旅館が2軒。そのひとつ、あづまや旅館も格子を入れる

湯本浦では見事に彫刻された持ち送りや石造りの看板建築、レンガ造りの蔵や塀なども見られました。古い町並みの範囲は東西・南北およそ100メートルほどと小規模ですが、上質な民家が多く残されているのが印象的でした。


看板建築の造り酒屋


レンガ造りの建物。蔵だろうか

町外れのレンガ塀


【住所】長崎県壱岐市勝本町湯本浦(地図
【公開施設】なし

2014年1月27日撮


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