薄香
うすか
不思議なかたちの格子
平戸港から峠ひとつ越えたところにある漁村が薄香。ここには平戸で失われた古い漁家が残されています。鑑賞のポイントは、出格子のかたちと持送りの彫刻。 |
【1】入り江に面した平地に路地が入り組んでいます。 |
平戸島の北西海岸、三方を山に囲まれた薄香湾の南に、さらに袋状にくびれた天然の良好があります。そこにある漁村が薄香で、地形に合わせて屈曲する道沿いに古い木造民家が並んでいます。 | 薄香漁港 |
平戸地域に特有の親子格子。似た意匠は壱岐島でも見かけた |
薄香の建築で特徴的なのが格子のデザイン。中ほどに横木を入れ、それより下では桟を多く、上では少なくしています。いわゆる親子格子の変形なのですが、ほかの地域では見られない平戸特有のかたちです。今日の平戸市街では建物の建て替えが進み、こうした格子は消滅寸前のところまで追いやられていますが、薄香では健在でした。 |
いまひとつの特徴が持ち送りです。西日本では立派な持ち送りをもつ地域が多数ありますが、平戸のものはサイズこそ小さいけれど、家ごとに凝った彫刻を施しています。 | 入念なレリーフが施された持送り |
水路に面してレンガ塀があった |
薄香の家は昔のままのデザインを見せてくれますが、多くは本2階建てで、建築年はそれほど古くはなさそうです。しかし間口2〜4間の小規模な家が多く、典型的な漁村の雰囲気を色濃く残す集落でした。 |
水路上の建物は納屋か? |
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ほとんどの家が本2階建て |
広場に井戸があった |