豆酘
つ つ

石と木がつくる風景

対馬の集落景観で際立つのが石と木の融合。開口部の少ない板壁の主屋や小屋を、石垣や石屋根がしっかりと守っています。

【1】下対馬(対馬島南部)では切妻屋根の大きな民家が見られます。
【2】四角く切り出した石を積んで石垣をつくります。風や雨から家を守るためでしょう。
【3】対馬の集落では小屋をまとめて建てる風習があり、豆酘では海岸におよそ20棟が建てられていました。火災時にも家財や穀物に被害が及ばないようにするためです。

豆酘は対馬の南西端にある集落。リアス海岸の湾奥から内陸の沢筋に沿って、線状に町並みが延びています。建て直された家も多く、連続した町並みは見られませんが、国指定重要文化財の主藤(すとう)家住宅ほか、いくつかの古い主屋が残されています。
主藤家住宅。19世紀中ごろ。居住されているため内部非公開

入母屋屋根の家もある。石垣がいい
この主藤家住宅をはじめ、対馬南部では、小屋をそのまま拡大したような切妻造りの主屋を多く目にします。通常、切妻造りは風の強い地域では嫌われる傾向にあります。妻面が風をまともに受けると倒壊するリスクがあるからなのですが、果たして冬に北西の季節風が吹き荒れる対馬島で多く見られるのは、いったいどういうわけなのでしょうか。

対馬島の民家は建て方が独特で、柱は断面が長方形の「平柱」、梁も大きく上に反ったものを使っています。材質は耐久性のある照葉樹ですから、風くらいではびくともしないのかもしれませんね。


板張りの2階家


海岸線に沿って小屋が並ぶ

小屋のつくりも独特。詳しくは「椎根」の項を参照


【住所】長崎県対馬市厳原町豆酘(地図
【公開施設】なし

2014年1月26日撮


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