舘浦
たちうら

二階家の密集

生月(いきつき)島はカクレキリシタンが多く暮らす島として知られていますが、その家並みもなかなか独特です。狭い路地に大型の2階家がびっしり並び、見あげればまるで3階建てのような迫力で迫ってきます。

【1】隣の家と壁を共有しているのが舘浦の家並みの特徴。限られた木材を節約するため、また、台風の通り道であることから家を頑丈にするためといわれています。
【2】非常に建ちの高い家が連なります。建築年はそれほど古くはないのでしょう。
【3】2階の窓の上に庇を入れる家が多くありました。これも風雨から窓を守るためのものでしょうか。

舘浦は生月島の南東部、平戸島に向き合う場所にあり、生月大橋を渡ってすぐのところに位置しています。弧を描く生月港に沿って2、3本の路地が並走し、その両側に2階建ての家が隙間なく建ち並ぶ、独特の集落景観を残しています。
舘浦の路地裏

2軒で壁を共有する
これらの家をよく見ると、隣り合う家どうしで壁を共有しています。戸建の家並みでありながら、ある種、長屋のようなつくりになっているのです。この背景には、台風などの強風対策と、木材の少ない島ゆえに建材を節約するためという2つの理由があるそうです。

港に面して2階屋が密集する
ほかにも舘浦の家は全体的に建ちが高い点や、多くの家が窓に庇をもつ点など、独特の特徴がみとめられます。派手さはありませんが、欄間に小窓を入れる家も多く、2階を座敷として使っていたことが分かります。あるいは、かつては旅館街か遊郭だったのかもしれません。
軒下に腕木を入れた家

雨戸をピンク色に塗装した家


【住所】長崎県平戸市生月町舘浦(地図
【公開施設】なし
【参考資料】
『旅する長崎学(6)キリシタン文化別冊総集編』長崎文献社、2007年

2013年4月30日撮


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