獅子
し し

棚田の島の石垣集落

起伏に富んだ平戸島は棚田の宝庫。沿岸部には風から身を守るため、石垣で防備した家が見られます。

【1】獅子の棚田は、傾斜はそれほど急ではありませんが、海を間近に水を張った景観が独特です。
【2】獅子は漁村ですが、田を開いて稲作もするし、畜産も営みます。写真に写っている黒い点が牛です。
【3】入り江に面して集落が形成されています。絶え間なく吹き付ける西風に抵抗するため、石垣を高く組み上げた町並みが、大きな特徴です。

平戸島は戦国時代にさかのぼるキリシタンの島。永禄4(1561)年に当地を巡回したポルトガル生まれのアルメイダ修道士は、獅子を「キリシタンの村」と記録しています。
しかしその後は潜伏キリシタンの弾圧の地となり、現在、獅子にキリスト教徒は住んでいません。

獅子の棚田
獅子は平戸島を観光中、偶然通りがかった集落です。遠景のリアス海岸と手前の棚田が美しく、写真を撮っていると、集落から牛の鳴き声が聞こえてきたので降りていきました。そうして目の前に現れたのが、見事な石垣集落! 多くは高さ1〜1.5メートルで、それほど高くはありませんが、中には屋根の軒に迫るものもありました。
これらの石垣は海からの季節風をよけるためのものでしょう。屋根瓦もしっくいで固定されているものがあり、当地の風の強さを教えてくれます。
獅子を観光した夜、平戸の居酒屋で土地の人と話したところ、「獅子は平戸の穴場。いいところに行ったねぇー」とのことでした。地元でも獅子の卓越した石垣集落は認知されている様子で、そのことも嬉しかったです。

紐しっくいで瓦を固定した家

集落の高台には2階家が多い


家は古い道沿いに密集し、その周辺に耕地が広がる


【住所】長崎県平戸市獅子町(地図
【公開施設】なし
【参考資料】
『角川日本地名大辞典(42)長崎県』角川書店、1987年

2013年4月30日撮


戻る