仁位
に い
対馬の家のかたち
対馬の伝統建築といえば石屋根の小屋が真っ先にあげられますが、住宅建築も特徴的です。ここでは仁位の家を例にご紹介しましょう。 |
【1】給人(きゅうにん)と呼ばれる支配層の家です。ここが日常的な出入口ですが、右に立派な玄関を並べています。 |
仁位は対馬島のほぼ中央、旧豊玉村の深く切れ込んだ湾奥に位置します。現在では新しい住宅地も広がっていますが、依然として伝統的な主屋や小屋が多く、とくに立派な玄関をもつ級人層の家がよく残っています。 | 仁位の給人の家 |
この家は向拝をもたないが通用口のほかに玄関がある |
対馬の家には他地域には見られない特徴がたくさんあります。間取りでいえば、土間がきわめて狭いことが特徴で、1間四方ほどしかありません。藩政期、農家の主屋は3間×4間を上限とされたため、居室を広く取る関係で土間が小さくなったのです。 |
対馬には内部を公開する古民家がないため実際に確認することは叶いませんでしたが、その様子は外見からもうかがい知ることができました。1戸ずつの家をよくよく見ると、間取りの半分以上が高床式になっているのです。高床部分が広いということは、それだけ板敷きや畳敷きの部屋が広く、土間が狭いということになります。 | 家の半分以上を高床としている |
仁位の高床式の小屋 |
対馬では小屋も特徴的で、これについては弊サイトの「椎根」ほかの項で説明していますが、仁位にも平柱をもつ小屋がよく残されています。家も小屋も高床式が目立つ仁位集落は、南洋諸島を思わせる独特の景観を残しているのでありました。 |
集落の一角に小屋が集められている |
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石垣で守られた古い家 |
左の家を裏から見たところ |