常滑
とこなめ
陶器でできた町
平安時代に創始し、日本六古窯に数えられる常滑焼のふるさとが常滑です。路面や塀にも陶器が使われ、ほかの町にはない風情が漂います。 |
【1】丘陵地にある常滑は坂の町。滑り止めとして、土管の焼成時に使われた「ケサワ」という焼台が埋められています。 |
常滑は平安時代から日用品としての瓶や壺を生産してきた焼物の町。中世には日本六古窯のうち最大の生産量を誇りました。幕末から明治にかけては鯉江方寿(こいえ・ほうじゅ)が土管や朱泥急須の生産を行い、常滑焼を再興。市内にはいくつもの窯元が置かれ、現在に至っています。 |
窯元が並ぶ常滑の町並み |
土管坂 |
常滑を象徴する景観のひとつが土管坂。わずか50メートルほどの小道ですが、片側の崖に明治時代の土管、反対側に昭和初期の焼酎瓶が埋められた特異な道です。土管坂は常滑を紹介する観光写真で必ずといっていいほど登場する名所。しかし土管坂のほかにも、ここ常滑では、陶器を埋め込んだ小路をあちこちで目にします。 |
土管坂の焼酎瓶 |
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土管坂のほかにも土管で補強された道は多い |
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もうひとつ、常滑らしい景観がレンガづくりの煙突群。ある報告*によれば、常滑ほどレンガ煙突が密集する都市は、日本ではほかにないそうです。陶業の衰退や燃料の変化によって煙突は無用になり、解体されたものも少なくありませんが、こうした景観は町の歴史を語るものですし、いつまでも残してもらいたいと思いました。 *常滑のレンガ煙突 |
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常滑では観光客のために散策コースが設定されています。コースには旧市街地をめぐるAコースと、博物館などの文化施設をめぐるBコースがあります。今回はAコースに沿って町並みをひと巡りしました。道しるべが丁寧で道に迷う心配はありませんが、ときにはコースを外れて路地裏をさ迷い歩くのも楽しいものです。小路が複雑に絡み合う坂の町は、どこまで歩いてもまったく飽きませんから。 |
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2014年12月14日撮影 |