横須賀
よこすか

宿場の面影色濃く

静岡県西部は台風や地震の影響が大きいのか、古い町並みはそれほど多く残されていません。そんな中、横須賀は城下町の面影を色濃く残しています。

【1】前に下屋を降ろしたツシ2階の商家が並んでいます。
【2】横須賀は陸上交通の宿場町として栄えました。ところどころに建つ古い旅館建築が、町の歴史を語っています。
【3】毎年秋には町家を舞台に、アートイベント「ちっちゃな文化展」が開催され、常時非公開の古民家を一斉に公開します。横須賀のシンボルともいえるこの八百甚も舞台になります。

横須賀は遠州有数の歴史の町。天正4〜6(1576〜78)年ごろ、徳川家康の命で武田方に対峙する城塞として横須賀城が置かれて以来、城下町として整備されました。当初は港町として賑わいましたが、宝永4(1707)年の大地震にともなう地盤隆起で港の機能が失われると、陸上交通の要衝となりました。その後も暴風雨や地震の被害を受けながらも、現在に至るまで古い町並みを残しています。


池田屋酒店

廻船問屋を営んだ清水家住宅

横須賀には城下の商家町らしく、碁盤目状の道路網が引かれています。このうち県道69号の一本北に走る道が旧街道で、陸上交通が盛んになってからは宿場町としても栄えました。道沿いにはツシ2階建ての家が目立ちます。中には江戸期にさかのぼる家もあるかもしれません。


清水家住宅の蔵


清水家住宅脇の路地
 

 

町並みのシンボルとなっているのが割烹旅館の八百甚で、現在の建物は昭和初期のもの。2階の軽快な手すりやガラス戸、入母屋屋根の下に回された庇などが、当時の建築の流行を教えてくれます。
八百甚

旧街道沿いの商家群
   
横須賀では毎年秋、古民家を舞台にした「遠州横須賀街道ちっちゃな文化展」が開かれています。1999年に第1回が開催されて以来、2014年で16回目を迎えました。これからも価値ある町並みを大いに生かしながら、次代に継承していってもらいたいと思います。
1階と2階に見事な格子を入れた山中酒蔵

町並みの北に寺町がある。これは善福寺の白壁

町並みの東端にある横須賀町番所。安政3(1856)年築


【住所】静岡県掛川市横須賀
【公開施設】清水邸庭園、横須賀町番所

2012年5月6日撮


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