宮口
みやぐち

門前に商家は残る

宮口は庚申寺の門前町として多くの参詣客で賑わった町です。庚申寺の表参道にはいまも古い商家が残っています。

【1】宮口は庚申寺の門前町。山門越しに一直線の参道が見えます。
【2】門前の交差点から庚申寺の脇にかけて、120メートルほどが石畳に舗装されています。江戸時代にはこの交差点に山門がありました。
【3】参道の両側に平入りの商家が連なっています。

神社の入口を思わせる地名に反して、ここ宮口は庚申寺というお寺の門前町であり、とくに庚申信仰が庶民に浸透した江戸時代には参詣者で賑わったそうです。当時は参道の両側に商家が並び、寺院境内から参道もろとも用水路が取り囲んでいました。庚申寺は臨済宗の禅寺ですが、話に聞く限りでは寺内町のような風貌を連想してしまいます。


門前に建つ創業150年の花の舞酒蔵

平入り商家が点在する。左奥が花の舞酒蔵

浜松市は旧東海道沿いに古い町並みが残るものの、市の中部から北部にかけては、それほど多くの町並みが残されているわけではありません。そんな中、宮口では旧浜北市(2005年、浜松市に編入合併)時代から、町並みを生かした町おこしが行われてきました。1994年、庚申寺参道が石畳に舗装され、これを機に2年後「宮口町おこしの会」が発足。パンフレットや観光案内板の作成、ボランティアによるガイドツアーなど、次々と企画を打ち出してきました。

宮口は歴史ある町ではありますが、「町並み」となると断続的です。しかし残り数軒となった商家はみな立派で、江戸時代の絵図にある「間口7間の商家」そのままの建物もありました。現存する建ちの低い商家は明治ごろまでに建てられたものだと思います。もう少し早く、この地域遺産に着目した町づくりが始まっていれば、浜松を代表する町並みが残されていたかもしれません。


宮口の町並み

敷地は奥に長い。商家町におなじみの「ウナギの寝床」

庚申寺。神社にしか見えないが、これも神仏習合の名残か?


【住所】静岡県浜松市浜北区宮口
【公開施設】なし

2014年5月8日撮


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