松崎
まつざき
重装備の家並み
伊豆半島には外壁をなまこ壁で仕上げた家や蔵が多数見られます。最も高密度で現存するのが、おそらく西伊豆の松崎でしょう。 |
【1】主屋、納屋、蔵。すべてがなまこ壁で武装されています。 |
なまこ壁とは、1辺28センチほどの正方形の平らな瓦を並べ、継ぎ目をしっくいで塞いだ壁のことです。呼び名の由来については、しっくいが半円形に盛り上がり、その断面がナマコに似ているから、とされています。 |
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なまこ壁通り(近藤家住宅) |
なまこ壁そのものは日本では特別、珍しいものではなく、全国各地で見られます。しかし、すべてをなまこ壁で武装した家や蔵が建ち並ぶ光景はそうそうは見ることができません。 |
南伊豆でなまこ壁が率先して採り入れられたのは、海風が強く火災が頻発する地であり、生命や財産を守ろうとした結果だと考えられています。しかしなまこ壁で仕上げるには時間も費用もかかります。それだけ南伊豆には裕福な家が多かったということなのでしょう。 |
旧中瀬邸の蔵 |
旧中瀬邸(旧依田直吉家) |
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旧伊豆文邸(右)と三光荘(旧依田家住宅)が向かい合う |
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松崎のなまこ壁建築でおそらく最も有名なのが旅館・山光荘(旧依田家住宅)でしょう。ここには「伊豆の長八」として知られた江戸・明治時代の左官、入江長八の鏝絵(こてえ)が残されています。 残念ながら宿泊客以外は見学することはできませんので、いずれここに泊まって、じっくり南伊豆探訪をしてみたいと思うのでありました。 |
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那賀川のほとりに立つなまこ壁の商家(これも旧依田家住宅) |
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2014年5月31日撮影 |