郡上八幡南町
ぐじょうはちまんみなみまち

間口の広い豪壮商家

同じ郡上八幡でも、北町に比べ南町は商業地として発展したため、町家の改造が進んでいます。しかし、大正の大火後に再建された北町よりも古い建物が多く、間口の広い江戸〜明治期の町家に圧倒されました。

【1】郡上八幡北町では見られない、間口4間もの大型町家が特徴。こうした家の多くは幕板をもちますが、用途は不明です。
【2】郡上八幡といえば袖壁の町並みですが、南町にはうだつが上がっています。
【3】2階の出格子も、北町では見られないデザイン。これも古い建築様式のひとつとされます。

郡上八幡では市街地のほぼ全域に古い町家が残されています。そのうち吉田川北岸の北町が、2012年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。加えて名水・宗祇水(そうぎすい)も、八幡城も、郡上八幡博覧館も北町にあり、観光客は南町を素通りしがち。ですが、ちょっと待って! ここの町家もなかなかすごいんですよ。


間口の広い商家が連なる(新町)

新町と直交する橋本町の町並みも素晴らしい
北町は大正の大火でほぼ全焼しました。その後、古い敷地を再分化して再建したため、各家の間口は2間半〜3間ほど。対して南町には江戸時代にさかのぼる古い商家も残り、とくに新町から橋本町にかけては、間口4間の大型商家を見ることができます。
   

齋藤家住宅(新町)
町内最古の町家が、安政年間(1854〜60年)に建てられた齋藤家住宅。新町では、この齋藤家から越後屋店舗、水野家住宅、直井家住宅と、4軒の登録有形文化財が並んでいます。全国を見渡しても、登録文化財が4軒並ぶ町角は、そうそうないのではないかと思います。

直井家住宅(左)と水野家住宅。土蔵に袖うだつを付けるのは珍しい(新町)
   
ちなみに登録有形文化財の多さも南町の特徴。これら4軒のほか、庄村家住宅、旧八幡町役場、旧林療院(郡上八幡樂藝館)も登録されています。
北町での登録は2013年現在ありませんが、しかし、町並み保存の認識が高まるにつれ、今後増えていくことでしょう。

郡上八幡旧庁舎記念館(鳥谷常盤町)

庄村家住宅は明治初期の町家(今町)
   

水路にはセギと呼ぶ板をはめ、水をせき止められる(鳥谷立町)
北町と同様、それぞれの通りには水路がめぐらされ、いまも生活用水として活用されています。いっぽう北町にずらりと並んでいた防火バケツは、それほど多くは見かけませんでした。

裏道には間口の狭い町家が並ぶ(鳥谷常磐町)


【住所】岐阜県郡上市八幡町鳥谷、八幡町新町、八幡町橋本町
【公開施設】郡上八幡旧庁舎記念館、郡上八幡樂藝館、町家伊之助
【参考資料】
『郡上八幡北町 郡上市郡上八幡北町伝統的建造物群保存対策調査報告書』マヌ都市建築研究所・郡上市教育委員会社会教育課編、郡上市教育委員会、2011年

2014年2月10日撮影


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