切差
きっさつ
養蚕農家、肩寄せ合い
笛吹川の支流、兄川の源流近くに切差集落はあります。切妻造りの養蚕農家が建ち並ぶ集落で、その多くが甲府盆地に特有の「やぐら造り」です。 |
【1】弊サイト「山梨県」ではくり返し紹介しておりますが、2階の中央を持ち上げた家はやぐら造りと呼ばれ、甲府盆地に多く見られます。 |
山梨市はお隣の甲州市とともに養蚕集落の多い地域で、切妻屋根の農家が連続する歴史景観がよく保存されています。市もこのことを自認しているらしく、2009年に発表された「山梨市景観百選」(実際の選定数は83件)には複数の集落が選定されました。切差もそのひとつで、切妻造りの養蚕農家が密集しています。 | 切差のやぐら造り民家と土蔵 |
県道沿いの家並み |
集落は兄川左岸を走る県道31号線沿いと、兄川の支流である沢筋の2カ所に展開しています。県道沿いにはトタン葺きのやぐら造り民家が多く、沢筋では瓦葺き、真壁造りの民家が比較的多いように見受けられました。 |
沢筋の家並み |
沢筋の家並み |
やぐら造りの家は、一般的には主屋の前側のみを持ち上げます。このため後ろにまわると、ふつうの切妻農家とほとんど同じ姿に見えるのですが、切差では右写真のように、後ろ側も持ち上げた家もありました。 | 切差のやぐら造り民家を後ろから見たところ |
瓦葺きの家の中には3階建てのものも見られました。平坦地が少ない土地の制約によるものでしょう。しかしこれらは当初から3階建てだったかはわかりません。左や右下の写真のように、妻壁のみ窓を3段重ねたものも見られ、これらは2階の天井裏に部屋をつくって3層構造にしたものだと思います。 |
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集落でひときわ目をひいた3階建ての家 |
兄川近くに建つこの家も3層構造のようだ |
2016年9月3日撮影 |