上芦川
かみあしがわ
芦川集落物語
―よみがえった茅屋根―
笛吹市南部の芦川沿いには伝統的な集落景観が残されています。最上流の上芦川には茅葺き民家が見られ、最も古風を感じられます。 |
【1】2011年、古民家再生推進事業で修復された藤原邸。茅葺き屋根がよみがえりました。 |
上芦川は芦川最上流の集落。江戸時代には甲斐と駿河を結んだ若彦路(わかひこみち)の関所が置かれ、その周囲に人家が建てられました。 | 上芦川集落の景観 |
古道に沿って用水路が流れる |
芦川といえばかぶと造りと石垣の景観が卓越していますが、思いのほか茅屋根の家は残っていません。わたしは2011年と16年の二度にわたって芦川を訪れましたが、見た限り茅屋根の家は4軒。そのうち3軒までが上芦川にて原位置保存されていました。ちなみにもう1軒は、新井原(あらいばら)に移築復元された田舎体験施設「おてんぐさん」です。 |
上芦川の代表的な家が藤原邸です。18世紀中ごろの建築で、もとは庄屋を務めました。2011年に改修され、敷地内には水車小屋も新築なりました。現在ではイベントスペースとして活用されています。 | 藤原邸 |
左が農啓庵 |
2軒目の茅葺き民家は集落の最も奥にある農啓庵(どうけいあん)。これも2011年に修復され、1棟貸しの古民家として、また、カフェとして使われています。藤原邸と比べると、この家には屋根に千木(ちぎ、X字形の木材)がありません。これも家格の違いを示しているのでしょうか。 |
そして3軒目の茅葺き民家は集落の東側、表通りから1本入ったところにあります。見たところ無住のようでした。冬期のみ下山しているのかもしれませんが、今後が心配です。 | 3軒目の茅葺き民家 |
茅葺きの小屋を発見(奥) |
トタン葺きのかぶと造りは多く残る |