長知沢
ちょうちざわ
瓦とトタンの養蚕農家
長知沢はお隣の国見平とともに小規模ながら上質な養蚕農家の残る集落です。屋根勾配の緩やかな瓦葺きの家と、傾斜が急なトタン葺きの家が混在しています。 |
【1】屋根勾配が45度ほどあるトタン葺きの農家。もとは茅葺きだったと思われます。こうした農家は甲府盆地にたくさん残っています。 |
富士川の右岸、海抜460メートルほどの丘陵地にある長知沢は、中世には西郡路(にしごおりみち)が通った集落。西郡路は富士川に沿う駿河往還から、西の山中に分け入る道で、現在の町道に受け継がれています。しかし長知沢は街村ではなく完全な山村で、古くは林業に従事し、マキ、炭、木材などを産出しました。 | 急斜面に民家が連なる |
2階建ての民家。破れたトタン屋根の下に茅が見える |
現在の集落景観は明治以降に普及した養蚕に適合したものとなっています。すなわち、蚕室である2階の作業用としてバルコニーをまわしたり、茅葺き屋根の一部を切り上げて通風・採光をよくしています。 |
長知沢集落で特筆すべきは、残された農家の大きさでしょう。これほど間口が広く、また、建ちの高い養蚕農家が密集する集落は、山梨県でも貴重な存在です。 その一方で空き家が多く、将来が気がかりですが、建築的価値は高いと思いますので、ぜひとも活用策を見いだしてもらいたいと思いました。 |
ニワを囲むように主屋と付属屋を建てる |
集落の中ほどに瓦葺きの家が2軒並んでいた |
|
切妻の民家群 |
集落最奥からの全景 |
2016年9月3日撮影 |