小原
おはら

模索続ける限界集落

小原はいまや人口数人の小集落ですが、白山の参詣登山道、越前禅定道(ぜんじょうどう)の道筋に位置することから、かつては多くの参詣客が行き交いました。無住となった家では、保存・再生プロジェクトが進められています。


【1】急斜面に展開する集落のため、どの家も石垣の上に建てられています。それにしても雑草が茂り放題ですね。石垣を崩してしまわないか、とても心配です。
【2】主屋は本来、大壁造りだったようで、いまも2階の外壁に荒壁が見えます。同じ両白山地の白峰(石川県白山市)の民家を思わせる風貌です。
【3】総2階建てで開放的な2階のつくりから、養蚕が営まれていたことがうかがえます。

古くから山岳信仰を集めた白山には、禅定道と呼ばれる3本の登山道がありました。そのひとつ、越前禅定道の道筋に位置したのが小原で、奈良時代の修験者・泰澄をはじめ、白山信仰に関する記録の多い集落です。
しかし2012年現在、小原集落の住民はわずかに2人。山肌にへばりつくように散在する家のほとんどが空き家になってしまいました。


急傾斜地に家や小屋が点在する

深い林に包まれた小原の集落


目に見える家はほとんどが廃屋


トタン被覆の茅葺き民家もあった

過疎化の原因は豪雪。とくに1961(昭和36)年の豪雪を機に離村が進んだそうです。あとに残された家は大壁造りで、同じ両白山地にある白峰集落を思わせる姿。これらの家や集落景観に価値を見いだした福井工業大学では、2006年度に「小原ECOプロジェクト」を発足させ、古民家の修復、耕作放棄地の再生、自然体験教室などを行っています。
2014年には夏季限定で古民家カフェも営業されたとか。今度行くときはゼミ生の活動風景も拝見させていただきたいと思いました。

板張りの家


集落の東にある小原白山神社

   


【住所】福井県勝山市北谷町小原
【地図】トップ写真の撮影地点
【公開施設】なし
【参考資料】
小原ECOプロジェクト
福井の歴史的建造物
『日本歴史地名大系(18)福井県の地名』平凡社、1981年

2012年7月14日撮


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