里見町
さとみちょう

代替わりした武家町

里見町はかつての武家町ですが、江戸時代の建物は現存しません。しかし家が建て直されても、塀をめぐらせ庭をつくるという、昔のままの空間構成は維持されています。

【1】土壁が少なく、生垣や板塀になっているのは、建替えの際につくり直されたからなのでしょう。
【2】主屋も比較的新しいようですが、妻壁の飾り梁を見せる「アズマダチ」と呼ばれる伝統様式を継承しています。
【3】武家町に彩りを添えるのが庭の緑。冬の間は庭木を着雪から守る雪吊(ゆきつり)が施されます。

多くの買い物客で賑わうタテマチストリート(竪町商店街)の1本東に、江戸時代の面影を見せる町があります。加賀藩士の里見氏の邸宅があったことに由来する里見町で、全長200メートルほどの小さな町でありながら、良質な景観を維持しています。


土塀の連なる一角


この主屋は古そうだった

里見町には江戸時代の建築物は残っていませんが、近代に再建された住宅の中には、往時の空間構成を継承したものが少なくありません。すなわち、道路に面して塀を立て、その内側に前庭をつくり、木造の主屋を建てているのです。

里見町では金沢のほかの武家町とは異なり、土塀がそれほど多くありません。昭和初期に建てられた中西家は板塀ですし、ほかに生垣の家も見られました。おそらく町並みを更新する際に、少しずつつくり替えられていったのでしょう。住宅は切妻造り・妻入りのものが多く、妻面に見事な飾り梁を見せる家も見られました。


門を構える中西家住宅


水溜町の土塀

なお、里見町の南に隣接する水溜町(みずためまち)もかつての武家町で、モルタルで補修した土塀が連なっていました。


【住所】石川県金沢市里見町
【地図】トップ写真の撮影地点
【公開施設】なし

2015年2月16日撮影


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