大沢
おおざわ
間垣が守る家並み
間垣とは、ニガタケ(メダケ)を並べた風除けの垣根のこと。いまでは能登半島北西部の大沢と上大沢でしか見ることができません。海に面して何百メートルも間垣が連なる光景は、訪れる者に強烈な印象を与えます。 |
【1】屋敷地の海側に、高さ5メートルほどに切ったニガタケ(メダケ)を、葉を取らずに並べます。これが間垣です。 |
日本海に面した狭い土地に展開する大沢集落では、海に面した家という家が、間垣(竹垣)で守られています。これは冬に吹き寄せるアイと呼ばれる北風から家を守るためのものです。 |
海側に間垣を設け守りを固める |
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間垣の材料としてニガタケが使われているのは、現地で調達できるということもありますが、しなることで風の抵抗をうまくかわせるというのが最大の理由のようです。 しかし間垣は定期的なメンテナンスを欠かせず、毎年差替えなくてはなりません。しかも自生地は集落から離れた山裾にあり、高齢化が進む昨今、採集が困難になっています。近年では木材でつくった耐久性の高い間垣も増えています。 |
2009年の輪島市の調査では、総延長809.6メートルのうち、ニガタケを使った伝統継承タイプは37%でした。 しかも大沢では護岸整備が進んでいるため、外海の強烈な風が集落まで入ってくることは少なくなり、間垣そのものが必要性を失っているようです。 |
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トタンの間垣。風を逃がすため隙間をあけて並べている |
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伝統的な間垣の景観を継承しようと、金沢大学では間垣補修活動を始動しました。これまで学生のほか一般からの参加者も募って、間垣の差替えを体験するスタディ・ツアーを行ったほか(2012年開催)、ニガタケを集落に近い休耕田などに移植することも検討されています。 ここでしか見ることのできない独特の集落景観の維持のため、何とか努力していただきたいと思います。 |
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2014年5月4日撮影 |