に し
リズミカルな茶屋の連なり
犀川の左岸、寺町台寺院群と向かい合う場所に、にし茶屋街が形成されています。2015年2月現在、25名の芸妓を抱える、金沢最大の花街です。 |
【1】ひがし茶屋街と同様、2階建ての茶屋建築が並んでいます。雨戸にガラスが入れられているのも、ひがしと共通します。 |
にし茶屋街はひがし茶屋街とともに、文政3(1820)年に成立しました。時代が同じせいか2つの茶屋街はよく似ています。建ちの高い2階屋が並び、1階には目の細かい格子キムスコ(木虫籠)が、2階にはガラス入りの雨戸が入れられています。 |
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相違点のひとつが、前庭空間をもつ茶屋が数棟あること。建物を道路より半間ほど後ろに建てた、京都祇園にあるような茶屋が見られました。 また、それほど修景が進んでおらず、表側が改装されたままの家も見られます。ひがしは映画のセットのようにも見えますが、にしでは、そうした印象はさほど強く受けませんでした。 |
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格子の下半分を板壁とする |
茶屋は芸妓遊びをする施設で、金沢の3つの茶屋町に遊女屋はなかったそうです。客間は2階に2部屋。階段をあがった「なかのま」の左右に1つずつ設けられました。客間は8〜10畳の「座敷」と4畳の「控えの間」からなり、客は床の間を背に、控えの間のほうを向いて座ります。芸妓の“舞台”となったのが控えの間で、準備が整うとおもむろにふすまが開けられ、唄や三味線が披露されました。 |
座敷と控えの間。西茶屋資料館の再現 |
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にし茶屋街は1街区のみで、歩いて2分もかからずに通り過ぎてしまうでしょう。しかし現役の芸妓数は金沢最多の25名。いまも本来の目的のまま生き続ける町なのです。 |
2015年2月16日撮影 |