主計町
かずえまち
3階建ての茶屋
浅野川のほとりの主計町は、ひがし、にしと並ぶ金沢の三大花街のひとつ。川端の桜並木とともに、木造の茶屋建築が古都の風情を演出します。 |
【1】町並みの前を流れる浅野川。 |
主計町は交通の要衝として賑わった浅野川大橋のたもとに開けた茶屋町。文政3(1820)年に成立したひがし、にしの両茶屋街より遅れて成立したと考えられています。両茶屋街は直線道路の両側に料亭が並びますが、主計町では浅野川の土手道の片側に並んでいます。茶屋建築も3階建てで、ほかでは見られない町並みを形成しています。 |
浅野川畔に茶屋が連なる |
|
現在の町並みが整備されたのは明治中ごろ。そのため江戸時代にさかのぼる建物はなく、現存する建物も多くが昭和時代に建てられたものですが、1階の出格子や庇、福井産の笏谷(しゃくだに)石を入れた石腰など、古い意匠をよく伝えています。 |
|
修景された家も多い |
ところで主計町という町名は1970(昭和45)年、住居表示法の適用により「尾張町二丁目」に変更されました。同法は「市街地を対象に、細分化された旧来の地名を統廃合し、郵便配達その他の便を向上させる」という大義名分のもと、全国で無数の歴史地名を抹消してきました。 |
|
金沢ではそれに抗した住民運動が起こり、1999年、尾張町二丁目の旧主計町部分に再度住居表示法を適用するかたちで「主計町」が復活しました。これは全国初の旧町名復活事業であり、その後の運動のモデルとされています。 |
2007年4月30日、15年2月16日撮影 |