菅沼
すがぬま
箱庭のような集落
庄川流域は、日本でもここでしか見られない合掌造り民家のふるさと。川の蛇行部にある菅沼は、周囲の景観と調和した美しさで知られます。 |
【1】急傾斜の大屋根をもつ、これが合掌造りの民家です。 |
五箇山は富山県の旧平村、旧上平村、旧利賀(とが)村の全域を指す地名で、「五つの山(谷)があったことから」ともいわれますが、詳しい由来は分かっていません。 |
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4層の合掌造り、A家住宅 |
菅沼の民家は合掌造りと呼ばれる形式です。特徴は、50〜60度ほどの急傾斜の茅葺き屋根であること。また、その急傾斜ゆえ屋根裏空間を多く取ることができ、場合によっては4層にもなります。 |
五箇山の合掌造りの外見上の特徴としては、妻面に庇を降ろし、そこを下屋としていることがあげられます。これは岐阜県・白川郷の合掌造りにはない構造ですが、なぜこのような姿になったのかは分かりませんでした。 |
下屋をもつ合掌造り、お土産かっぱ。まるで入母屋屋根のようだ |
村外れに建つ蔵 |
菅沼では集落の南東部に住居が密集し、北西部は水田になっています。また、住居と水田の間には蔵が多く建てられています。こうした明確な土地利用がなされているのは、集落の規模が小さく、より効率的に土地を使うための方策だったと考えられています。 |
菅沼は1995年に世界遺産に登録されると観光客が急増。2007年には集落の南西に、展望台をそなえた駐車場「菅沼展望広場」が完成しました。展望広場にはエレベーターも完備され、坂道を歩かずに集落までアクセスできます。 |
集落内の神明宮 |
冬の菅沼 |
小さな集落を大勢の観光客が闊歩する様子を見ると「何か違う」と思ってしまいますが、それは部外者のエゴというものでしょう。駐車料金による収入は集落景観の維持――とりわけメンテナンスに莫大な費用がかかる茅屋根の維持――に、なくてはならないものなのですから。 |