上梨
かみなし

五箇山、第三の集落

上梨は世界遺産に登録された五箇山の相倉(あいのくら)と菅沼の間に位置する集落。多くの観光客が素通りしていますが、ここにも見事な合掌造り民家が残されています。

【1】国道が通っているため、集落の印象は相倉や菅沼とだいぶ異なりますが、合掌の屋根が織りなす景観が残されていました。
【2】屋根の片側に煙出しを設けるのは、五箇山に共通する特徴です。
【3】妻面に庇をせり出すのも、五箇山の合掌造りの形式です。

富山県の五箇山(旧平村、旧上平村、旧利賀村の総称)にはかつて70の集落があり、そのほとんどが合掌造りの村でした。しかし近代化の影響を受け、多くの家が建て直され、また、豪雪被害などで廃村となる集落もありました。


上梨集落。手前は五箇山総合案内所

上梨集落。2軒とも民宿を営業

現在、良好な状態で往時の姿をとどめるのが、相倉(合掌造りの民家は20戸)と菅沼(9戸)で、岐阜県白川郷の荻町とともに世界遺産に登録されています。
上梨は相倉と菅沼の間に位置する集落。合掌造りの家が5戸残り、数のうえでは五箇山で第三の合掌集落ということになります。

別の言い方をすれば、合掌造りの家が「群」をなしている光景を見られるのは、相倉、菅沼のほかには、ここ上梨だけということになります。
(しいてあげれば、西赤尾集落では重要文化財・岩瀬家住宅と行徳寺庫裏〈くり〉が並んでいますが……)


集落全体で見れば近代的な家のほうが多い

重要文化財・村上家住宅

上梨は集落の中央を国道156号線が横切っているため、相倉や菅沼のような里山の風景がやや失われているのは残念です。しかし、重要文化財・村上家住宅を中心に、5棟の合掌民家がギュッと集まった光景は、日本の宝というにふさわしいものだと思います。
また、村の鎮守・白山宮や、円浄寺の鐘楼堂、そのほか複数の蔵なども加えると、茅葺き建築の総数は10以上になります。


重要文化財・白山宮


円浄寺鐘楼堂


【住所】富山県南砺市上梨
【地図】村上家住宅
【公開施設】村上家住宅、五箇山総合案内所

2014年5月3日撮影


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