井波
いなみ

木彫りがアクセント

瑞泉寺の門前町、井波は、彫刻工房が並ぶ木彫りの町。ずらりと並んだ平入りの家には、北陸の町家の典型的特徴がそこかしこに認められます。

【1】軒の出が深く、それを太い登梁(のぼりばり)が支えています。雪へのそなえであり、素朴な力強さがあります。
【2】1階には庇がつきます。屋根面がゆるくカーブしたむくり屋根になっていて、伝統的な板葺きのものが多く残っています。
【3】町を彩るのが、これらの彫刻作品。商店の看板や表札、街灯の装飾など、数々の作品が見られます。


瑞泉寺山門。上部の欄間に「雲水一疋竜」の彫刻がある

井波が木彫りの里となったのは、宝暦13(1763)年に瑞泉寺が火災で焼失したのがきっかけでした。再建のため派遣された京都本願寺の御用彫刻師・前川三四郎が、当地の大工に自らの技を継承したことが始まりです。
瑞泉寺はその後、明治時代にも焼失していますが、山門には前川三四郎の作と伝わる「雲水一疋竜」などの彫刻が残っています。


瑞泉寺太子堂。1918(大正7)年の再建で、随所に彫刻が施されている

瑞泉寺の門前町である八日町には多くの職人が居を構え、自らのアトリエとしています。250年前に前川三四郎がやって来たとき、彫刻師はわずか4人でしたが、いまや300人以上。全国屈指の「彫刻の里」として当地で弟子入りする若手職人も多いそうで、町並みは活気にあふれています。


木造建築が連なる路地

八日町の平入り商家

町並みを構成する町家は富山県西部に共通して見られるもので、屋根を支える太く頑丈な登り梁が印象的です。1階にも木製の庇を付け、庇下に幕板をもつ家もありました。2階は全面を開口し、古い家では格子を、新しい家ではガラス戸を入れています。また、2階の両端に設けられた袖壁には、内側に2本の横梁を入れて装飾的に仕上げられていました。

井波は木彫りの里らしく、至るところに彫刻の施された看板が見られます。右の電話ボックスも、いかにも井波らしい飾りが施されていますね。


電話ボックスもこの通り

それぞれの商家には凝った看板が掲げられている


【住所】富山県南砺市井波町
【地図】トップ写真の撮影地点
【公開施設】なし

2014年5月3日撮影


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