下井ノ口
しもいのくち
河岸段丘の茅屋根
小田急線の秦野駅とJRの二宮駅のほぼ中間に、井ノ口はあります。県道沿いには高層ビルが建っていますが、裏道には古き足柄を思い起こさせる光景がたくさん残っています。 |
【1】集落の中心を葛川(くずかわ)が流れています。大きな川ではありませんが、広い河岸段丘をもつのが特徴で、そこに農地がつくられています。 |
地名のとおり葛川に注ぐ泉が湧き出る井ノ口は、相模湾岸の二宮から大山へ通じる大山道沿いの集落。上・下に分かれ、二宮寄りの下井ノ口には古い農家が残されています。いまも茅屋根のままの家が2軒、トタンで覆われたものは3軒確認できました。 |
集落の背後には県道沿いのビル群がそびえる |
土蔵をもつ茅葺き民家。こうしてみると主屋の小ささがよく分かる |
下井ノ口の民家はどれも桁行き3〜4間ほどと小ぶり。また、関東地方の農家は養蚕の普及とともに屋根型を変えてきたのですが、下井ノ口の家はどれも簡素な寄棟造です。このあたりでは養蚕は広まらなかったのかもしれませんね。 |
このお宅も主屋(左)は小さめで、納屋(右)と大して変わらない |
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当地の旧家のひとつが近藤家。もとは甲斐の武家に仕えた家柄で、主君の移住とともに井ノ口に移りました。主屋は築300年ともいわれる茅葺きの建物で、箱棟の中央にある煙出しの小屋根が印象的です。 |
近藤家主屋 |
河岸丘陵の傾斜地にたたずむO家住宅。大棟の形が近藤家と同じ |
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板張りの作業小屋。屋根のかたちがおもしろい |
土蔵もよく残されている |
2013年11月23日撮影 |