御岳山
みたけさん

天界は御師の村

山岳信仰を集めた御岳山には、登山者の宿泊と祈祷を都合した御師(おし)の集落が築かれています。

【1】御師住宅は山上の限られた土地に建つため、規模は大きくありません。もとはすべての家が茅葺きだったそうですが、いまでは3棟を残すのみです。
【2】長屋門や冠木(かぶき)門、入母屋屋根や式台玄関など、あらゆる手を尽くして格式を高めています。
【3】門や玄関に注連縄が掛けられています。御師の家は御岳信仰の信者を泊めるだけではなく、祭式も行う聖なる場所なのです。

御岳山は青梅市と奥多摩町の市境にある標高1077メートルの山。古くから山岳信仰の地となり、修験者が集まりました。彼らはやがて祭式を執り行ったり、参詣者のための宿坊を経営する御師となりました。御岳山の御師集落は山上と麓の2カ所に形成され、このうち山上ではいまも多くが宿坊を経営しています。


御岳山の山頂付近に20軒ほどの御師住宅が建つ

馬場家御師住宅

御岳山の御師住宅は、かつてはすべて茅葺きでしたが、現存するのはわずかに3軒。中でも規模の大きな馬場家御師住宅は東京都指定文化財になっています。建造は慶応2(1866)年。

御師住宅は参拝者の宿泊施設であると同時に、参拝前の祭式を行う場でもありました。そのため客室のほか祭式設備も整えられている点に特徴があります。また、客室には書院造り風の座敷飾りを設けたり、正面外観に式台玄関をしつらえるなど、格調を高めるための工夫が随所に見られるのも御師住宅の特徴です。


馬場家御師住宅の式台玄関

馬場家御師住宅の屋根まわり


長屋門をもつ駒鳥山荘


【住所】東京都青梅市御岳山
【公開施設】なし
【参考資料】
『写真で見る民家大事典』日本民俗建築学会編、柏書房、2005年

2003年9月19日撮影


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