多田良
ただら
伸びゆく緑の道
季節風が激しく吹きつける房総半島南部では、イヌマキを植えた防風林が発達しました。中でも多田良の集落景観はすばらしく、どこまで歩いても途切れないイヌマキの生垣と屋敷林が見られました。 |
【1】木の種類はイヌマキです。 |
マキはマキ科マキ属の総称で、単に「マキ」という植物はありません。ふつうはイヌマキを指し、生垣や街路樹として親しまれているのもイヌマキです。 千葉県ではイヌマキの生垣を各地で見ることができますが、とりわけ北部の利根川沿岸、東部の九十九里地域、南端部の太平洋・東京湾岸で発達しました。いずれも強風対策として、葉が密生するイヌマキが好まれたようです。 |
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多田良の景観。石垣の上に生垣を生やす家もある |
多田良は旧富浦町中心部の近くにあります。房総本土と大房(たいぶさ)岬をつなぐ砂州の北側、富浦湾に面する沿岸集落で、冬になると西からの季節風が吹きつけます。イヌマキの生垣はこの強風をよけると同時に、防潮・防火用でもありました。 |
多田良の生垣の成立については詳しい記録がなく、いつごろつくられたのかは分かりません。しかしもともと自生する植物であることから、集落形成と同時に植えられたと考えられています。 |
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その土地に自生する植物は、文字どおり水が合うため、実際よく茂ります。多田良では高さ2メートル以上の生垣をこしらえ、さらにその内側にもイヌマキの屋敷林を設けているため、通りからは家の屋根さえ臨めないほどです。 |
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分かれ道にお墓がある。意味ありげな町角 |
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2010年5月22日撮影 |