堀江・猫実
ほりえ・ねこざね
夢の国の陰で
堀江・猫実界わいを歩けば、いまも古き良き浦安の風情に浸ることができます。茅葺きの漁家、下見板張りの商家、空地と井戸……。ようこそ、懐かし要素でいっぱいの浦安の路地裏へ。 |
湾岸の巨大リゾートが浦安の顔となったのは、ここ30年ほどの話。12世紀の集落成立から800年以上、浦安は一貫して漁村であり続けてきました。 |
境川。左が猫実、右が堀江 |
旧大塚家住宅は茅葺きでありながら天井を張る |
堀江・猫実では湾岸地帯ならではの建築様式を見ることができます。それが2階建ての茅葺き民家。高潮や洪水にそなえて2階を設け、そこに家財道具などを避難させました。 |
旧大塚家住宅の外観 |
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堀江・猫実には平屋の茅葺きも点在しています。そのうちの1軒、右写真の家は前面にずらりと板戸を並べ、すべて外せば開放的な出入り空間を確保できるようにしています。創建当初からこうした姿だったのか定かではありませんが、漁網などを出し入れする漁家の特徴をよく表しています。 |
トタンで覆われた茅葺きの漁家建築 |
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左は路地裏で見つけた小ぶりの茅葺き民家。一見、納屋のようでもありましたが、つくりがしっかりしていることから、最初から住居として建てられたものだと思います。 |
堀江・猫実には漁家だけでなく、町家風の家も残っています。最たるものが明治2(1869)年の旧宇田川家住宅。オモテ側が店舗になっていて、かつて米屋や呉服屋などを営んでいました。 |
旧宇田川家住宅 |
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旧宇田川家住宅のある道は堀江フラワー通りといい、ちょっとした商店街になっています。道の途中には木造の商店や銭湯、入母屋造りの玄関をもつ和館などが点在し、古き昭和の雰囲気を残しています。 |
堀江フラワー通りはかつて浦安のメインストリートでした。道に並行する境川は多くの漁船が停泊する港であり、魚市場もあったそうです。1969(昭和44)年に地下鉄東西線の浦安駅が開業すると、商業・経済の中心が移り、新たな市場が駅前に建てられました。 |
両脇に真新しい戸建住宅をしたがえた古い商家。浦安らしい町角 |
境川近くにあった本2階建ての茅葺き民家 |
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2003年4月18日、13年11月30日撮影 |