草加
そうか

今様草加宿の模索

日光・奥州街道で2番目の宿場・草加は、埼玉県の入口の町。ここでは21世紀のいまに宿場町を活性化する「今様草加宿」プロジェクトが進行中です。

【1】草加宿には間口4〜5間の平入り商家が現存。外壁は江戸風の黒しっくい塗りです。
【2】屋根の上には大きな鬼瓦と、雲形にしっくいを盛り上げた影盛(かげもり)が載ります。川越の商家と同じかたちです。
【3】歴史的商家は点在するばかりで、古い町並みは連続性がありません。旧宿場のほぼ全域にマンションや雑居ビルが進出しているのが「今様草加宿」です。


現在の草加宿の町並み

草加宿は東武線・草加駅のすぐ近くにあり、近代の開発によって往時の面影は消滅寸前のところにまで追いやられてしまいました。地元では2004年、「草加宿の雰囲気を次代に伝えられる、いまが最後のチャンス」ととらえ、今風の草加宿すなわち「今様・草加宿」地域再生プロジェクトが発足しました。
プロジェクトでは草加宿の周辺環境を整備し、商業地として再活性化することなどを目標としています。また、歴史ある町並みを生かした公園や休憩スポットの創出なども課題とされました。
こうした流れを受け、2011年には旧久野家が無料休憩スポットの「草加宿神明庵」としてオープンしました。


旧久野家


旧久野家2階のギャラリースペース

旧久野家は安政2(1855)年の江戸大地震のときにすでに建っていたといわれる、草加宿では数少ない江戸期の建築物。間口5間の平入り2階屋で、1階前面に下屋を下ろした、関東の典型的な町家建築です。
旧久野家のほかにも草加宿には江戸〜昭和戦前の建設とおぼしき町家が点在しています。その総数は10棟以上あると思いますが、なにぶんにも古い町家が連続していないのが残念なところです。
けれども、都市化が進んだ草加市中心街にあって、いまも古建築が残されているということじたい、とても価値のあることだと思います。「今様・草加宿」プロジェクトの今後を見守りたいと思います。


格調高い出桁(だしげた)造りの藤城家住宅


黒しっくい塗りの浅古家住宅

主屋の背後に土蔵を連ねている


袖蔵のある家。主屋(右)は正面が増築されているが古い建物だ


【住所】埼玉県草加市高砂1・2丁目、住吉1丁目、神明1丁目
【公開施設】久野家(草加宿神明庵)
【参考資料】
「『今様・草加宿』地域再生ビジョン」「今様・草加宿」実行委員会、2005年

2013年12月7日撮


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