下畑
しもはた
差し茅の限界迫る
下畑は東京都青梅市との都県境に近い集落。山裾に2軒3棟の茅葺きの家が残り、“茅葺き集落然”とした雰囲気をとどめています。 |
【1】下畑は関東平野の終端。背後に丘陵を控えた場所に、集落は広がります。 |
「飯能の郊外に茅葺きの家がある」との情報を聞きつけ、下畑集落に行ってきました。場所は西武線の飯能駅から南西へ2キロほど。成木(なりき)川の左岸、茶畑が点在するのどかな集落景観のただなかに、確かに2軒3棟の茅葺きの家がありました。 |
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U家住宅 |
このうちの1軒、U家住宅は茅屋根の上に空気抜きの高窓を2つ乗せた外観をしています。蚕室とした屋根裏の換気のためでしょう。関東地方にあって、文化財指定以外に茅葺きの養蚕農家があること自体、非常に稀少なことですが、高窓を乗せた家となるとさらに数は少ないと思います。 |
もう1軒のY家住宅は主屋と離れの2棟の茅葺きをもちます。偶然、家主の方にお話を聞けたのですが、それによると「平成22年まで、7年連続で差し茅をしていたのだが、もうだいぶ傷んでしまった」とのこと。差し茅とは古くなった茅を抜き、部分的に新たな茅を差し込む手法。工期・工費ともに抑えられる反面、気候条件などによっては耐久性に乏しいという欠点があります。 |
Y家住宅 |
Y家住宅主屋 |
家主の方は「もう差し茅はしない。そろそろ取り壊す時期かなぁ」と仰っていました。こうして、茅屋根のある風景は全国から消えてゆくのですね……。残念ですが、これも時代の流れと割り切るしかないのかもしれません。ましてや個人の所有物に部外者のわたしが物言いできるわけもありません。 |
Y家住宅離れ |
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背後のお堂に通じる道からY家の屋敷構えを見わたす |
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2014年9月27日撮影 |