三峰
みつみね

三つの峰に連なる地

三峰は三峯神社の西にある集落。標高1000メートル前後の急傾斜地に古民家が点在し、そこからは「三峰」のひとつ白岩(しらいわ)山を望むことができました。

【1】三峰は、三峯神社が修験道の行場だった時代にさかのぼる古い集落。険しい地形に身を潜めるように家が点在しています。
【2】もともと集落の家はすべて茅葺きでした。茅屋根を見せる家はすでになく、トタンで覆われた家が数軒見られるのみでした。
【3】谷の向こうに「三峰」の一座、白岩山がそびえています。

三峯神社は日本武尊が創建したと伝わる古社。標高1102メートルの高所に鎮座し、奥宮はさらに高い妙法ヶ岳の山頂(1329メートル)に祀られています。神社名は、妙法ヶ岳とその南に続く白岩山、雲取山の三座にちなみ、神社の西には同名の集落があります。


三峰集落は標高1000メートル付近に展開する(大木)

急傾斜地の家並み(猫下)

三峰集落は古くから神社領地であり、人々の生活も神社と密接に関わっていたようです。地元の方にうかがったところ、集落の起源は、神仏分離以前の仏教寺院にあるそうですが(神社はもともと修験道の道場でもありました)、「詳しいことは分からない」とのことでした。ただし道場に近いといっても、宿坊を営むことはなかったそうです。

三峰の家はもともとすべて茅葺きでした。現在、トタンをかぶせた家が4軒ほどあるほかは、勾配の緩い屋根に改修されています。多くの家で、主屋の後ろに氏神様を祀っています。また、傾斜地であるがために石垣で土地をならし、その上に列状に建物を配置しているのが特徴です。


せいろう組みの板倉があった(日影)

氏神様を祀る家(日影)

風呂小屋(猫下)

三峰に4つある字のひとつ、猫下には特徴的な付属屋がありました。主屋の前、表通りに面したところに、ガラス窓をはめた1間四方の小屋が建てられているのです。聞けば、かつての風呂小屋とのことです。


石垣と風呂小屋の集落景観(猫下)

民家は総じて大幅な手直しが加えられているようですが、建物の構造は旧来のものを維持しており、重厚な木組みも見られます。
右の家には垂木を受ける桁が見えていますが、1階を丸材、2階を角材としているのがおもしろいと思いました。


丸桁の断面が1階と2階で異なる(大木)

ムロをもつ家も多い(猫下)


【住所】埼玉県秩父市三峰
【公開施設】なし

2015年1月25日撮


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