大谷町
おおやまち

石のふるさと

軽く加工しやすいことから建材として重宝されてきた大谷石。その産地である大谷町では、家が蔵が大谷石で建てられました。

【1】大谷町では家や蔵、長屋門、住宅の基礎などが大谷石で築かれています。
【2】軟らかく、加工しやすいのが大谷石の特徴。持ち送りや窓枠、付け柱など、実に表情豊かに加工されています。
【3】川の護岸や農地の土留めなどの土木構造物も大谷石。ここは町すべてが石づくりなのです。

太古の昔から古墳の石室に利用されていたという大谷石。建築資材としての利用が本格化するのは江戸時代以降で、はじめは在住の農民が採石を行い、鳥居や狛犬、城郭の石垣などに使われていました。


遠景に露天掘りの採掘場跡を臨む

見上げる基壇の上に石蔵が並ぶ

採石が本格化したのは明治時代の中ごろから。昭和40年代後半にピークを迎え、当地では住宅の土台や蔵、長屋門などの民間建築から、事業所や公会堂、橋や川の護岸、農地の土留めなどの土木構造物まで、あらゆるものに利用されました。

大谷石の特徴は何といっても軟らかく、加工しやすいこと。このため細かな彫刻が可能となり、時代性を反映して洋風の付け柱や窓枠が次々とつくられました。
町を東西に横切る県道70号線や、大谷観音・大谷寺方面へ分かれる県道188号線沿いには石材加工店が並び、その店まわりや付属の蔵には、思い思いの装飾が施されています。


株式会社屏風岩の蔵の装飾


看板建築風に造作されている半田石材店


民家の土蔵の壁もこの通り
   

大谷石建築の白眉といえるのが大正末期〜昭和初期に建てられた旧大谷公会堂。正面の破風を飾る4本の付け柱や、入口周りの付け柱などに幾何学文様が施されています。


旧大谷公会堂の付け柱

旧大谷公会堂。国の登録有形文化財だが、老朽化のため解体の噂が絶えない


大谷石づくりの建物が並ぶ

茅葺きの家と大谷石の蔵


大谷町には茅葺き民家も多かった


トタンで覆われた茅葺き民家


【住所】栃木県宇都宮市大谷町
【公開施設】なし
【参考資料】
『日本の文化的景観』文化庁文化財部記念物課監修、同成社、2005年

2014年4月5日撮


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