中田付
なかたづき

しっくいとレンガのコラボ

中田付は喜多方中心街の小田付と、北部入田付の間にある集落。いまは田園地帯の中に20軒ほどが肩を寄せ合う小村ですが、かつては市が立ち、大いに賑わったようです。やがて市は小田付へ移り、そこが喜多方の中心街になっていくのでした。

【1】中田付はレンガ蔵の里として知られる三津谷に近い集落。その影響か、レンガを建材にした蔵が目立ちます。
【2】腰壁がレンガ、その上が白しっくいというのが、中田付の蔵の標準形のようです。
【3】ところでこの蔵、曲り家のように平面がL字型でした。後代に増築されたのでしょうか。

喜多方市内には100棟ものレンガ蔵が現存しているといわれています。その建材のほとんどは、喜多方郊外の三津谷にあった樋口窯業で焼かれました。樋口窯業はもともと、屋根瓦を焼く窯元として1890(明治23)年に創業しましたが、やがてレンガも焼くようになり、実際それを使ったレンガ蔵が喜多方の至るところで建てられました。


片開きの窓を見れば、壁の厚さが分かる


曲り家の主屋と、腰壁がレンガづくりの蔵

喜多方のレンガ蔵の多くは、壁を全面レンガ積みとしたものですが、中田付のものは地面から1.5メートルほどのところまでをレンガ積みとし、それより上はしっくい塗りとしています。屋根は会津に多い赤瓦ではなく、黒瓦で葺かれていたのも印象的でした。


丸ごとレンガで建てられた蔵もあった


水田に囲まれた神社


【住所】
福島県喜多方市岩月町宮津中田付
【公開施設】なし
【参考資料】
『日本一の蔵めぐり 会津喜多方の迷宮(ラビリンス)』須磨章著、三五館、2008年

2013年6月2日撮影


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