白川扇状地
しらかわせんじょうち

緑の海、緑の小島

白川扇状地の散村は飯豊町が誇る集落景観。北は市境を越えて長井市にまでおよび、田園地帯に屋敷林が点在する風景が延々と続いています。

【1】それぞれの家は50〜100メートルほどの間隔をあけて建てられています。
【2】屋敷地の西から南にかけて植栽を施します。防風・防雪のためで、針葉樹と落葉広葉樹をともに植えます。
【3】家の周りに田んぼが広がります。ゆるやかな傾斜地にあるため、わずかながら棚田状になっています。


2軒の家が隣り合う。左の家は茅葺き(飯豊町椿)

白川は山形・福島県境にある飯豊(いいで)山地に源を発し、長井市で最上川に合流します。その下流域、飯豊町と長井市にまたがるあたりに、面積1200ヘクタールほどの散村が広がっています。散村とは家が散らばって存在する村のことですが、白川扇状地に散村が形成された時期や理由は、調べても分かりませんでした。

このあたりの家は敷地の西側に針葉樹と落葉広葉樹を植えています。防風・防雪のためのもので、屋敷林に守られるように、東や南に向けて主屋を建て、その両側に納屋や付属屋を並べます。


板塀を巡らせた家もあった(長井市平山)

ホトケ山(飯豊町中)からの展望

白川扇状地の景観は、1992年度の第1回美しい日本のむら景観コンテスト(主催:農林水産省)で最高賞となる農林水産大臣賞を受賞しました。以来、地元では「飯豊の散居集落」の名で観光PRを行っています。ホトケ山とどんでん平ゆり園の2カ所には扇状地の俯瞰ポイントがあり、それぞれには駐車場が整備されています。


どんでん平ゆり園の展望台(飯豊町萩生)


どんでん平ゆり園からの展望

この景観を引き立てているのが茅葺き民家です。東北地方の日本海側は全国的にも茅葺き民家が多い地域ですが、白川扇状地でも屋敷林に守られて、数棟の茅葺き民家が見られました。田んぼと屋敷林、茅屋根がつくる風景を、いつまでも大切にしてほしいと思いました。


この家の植栽はほとんど針葉樹だ(飯豊町萩生)


茅葺きの家。右奥はJR羽前椿駅(飯豊町椿)


かぶと造りの家(長井市平山)


【住所】山形県長井市平山、山形県西置賜郡飯豊町中、萩生、椿ほか
【公開施設】なし

2015年7月5日撮影


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