金山
かねやま

100年後見すえた景観設計

金山は羽州街道の宿場町だったところ。明治以降の切妻の商家に混じって、伝統工法で建てられた築10〜20年の家も見られます。ここは「美しく古びる家並み」に取り組む全国で唯一の町です。

【1】化粧梁を見せる切妻の商家が軒を連ねます。この家は明治時代の建設。
【2】こちらは近年の修景事業で直された家。古い家と同じように化粧梁を入れた妻壁をもち、一見しただけでは古い家と区別がつきません。
【3】伝統商家をモデルにした、切妻・真壁造りの家。「金山型住宅」と呼ばれます。
【4】建材には地元産の金山杉を用い、妻壁には化粧梁を入れています。
【5】腰壁を下見板張りとするのが金山型住宅の特徴です。

家は時代とともに変化していきます。屋根材は茅から瓦へ、瓦から金属へと変わりましたし、外装も土壁や板壁からモルタル、サイディングへと変わりました。ゆえに今日、伝統的な景観を残す町並みや集落が貴重な存在になっているわけですが、金山では「新築の家も伝統的な建材と工法で建て続ける」という試みがなされています。


羽州街道沿いの町並み

金山型住宅と土蔵群

この試みの基幹となっているのが、1983(昭和58)年度に始動した「街並み(景観)づくり100年運動」。100年後の金山に伝統的な町並みが残されることをめざしたもので、古い町家をモデルにした「金山型住宅」の建設が推奨されるようになりました。設計の指針として、たとえば屋根に関しては「切妻で、色はこげ茶または黒で統一すること」などと細かな規定が設けられています。

金山型住宅は、単に外観を古く見せているだけではありません。当地の特産物である金山杉を使うことで地産地消を実現していますし、伝統工法で建てることにより、大工技術の維持・継承をも視野に入れています。
町では金山型住宅を新築する場合、最大で50万円の助成金を施主に与えています。


金山型住宅の家並み

典型的な金山型住宅(右)と1936(昭和11)年築の旧郵便局

当たり前のことですが、岐阜の白川郷も、岡山の倉敷も、町並みを構成する家々はすべて「新築の家」として建てられました。戦後、全国各地で新建材・新技術による家づくりが普及すると、しだいに地域の風土に根差した町並みは消えていきました。
地元の材料を使い、地元の職人が家を建てる――。何百年にもわたって「当たり前」だった家づくり、町づくりが、金山ではかたくなに続けられているのです!

金山には新築の家のみならず、明治以降の商家も多く残されています。両者が一体となった町並みは、100年後の人々にどんな姿を見せてくれるのでしょうか。
そんなことを想像しながら散策するのが楽しい町並みでした。


金山型住宅(左)に古い商家群が向かい合う

カネカ社屋。大正時代の切妻の商家と土蔵が並ぶ


カネカの向かいに建つ丸井家住宅。明治20年代


町並みでひときわ目立つ旧やまに旅館。1879(明治12)年


農業用水として開かれた金山大堰と板壁の路地


【住所】山形県最上郡金山町金山
【公開施設】金山町街並みづくり資料館、金山町交流サロンぽすと(旧郵便局)、いちやま邸蔵ギャラリー
【参考資料】
『別冊太陽 日本の町並み(3)関東・甲信越・東北・北海道』平凡社、2004年
金山町探訪ガイド

2014年12月31日撮


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