加茂
か も
富を蓄えた蔵並み
城下町・鶴岡の外港として整備された加茂は、酒田港入港前に北前船が寄港する港でもありました。いまでは小さな漁村となっていますが、廻船時代を彷彿とさせる古い民家も点在しています。 |
【1】加茂の家は間口が狭く、奥行きが長いのが特徴。裏通りには蔵が並んでいます。 |
加茂は北前船の寄港地として栄えた港町で、江戸・明治時代にさかのぼる廻船時代の風景が残されています。港に近い一等地にあるのが、江戸時代に建てられた秋野家住宅。酒田の本間家に次ぐ庄内第二の大地主といわれた家です。間口の狭い家が多い加茂にあって、秋野家だけは敷地を板塀で囲み、ゆったりとした屋敷構えを見せています。 |
秋野家住宅 |
左が石名坂家住宅 |
秋野家住宅の裏の道を北へ進むと、もう1軒の幕末建築の石名坂家住宅があります。こちらは廻船業を営んだ家で、正面の軒下に航海の安全を祈る祈祷札がいまも掲げられています。敷地は縦長で、外見は簡素ですが、内部は部材に漆を塗った豪華なつくりになっているそうです。 |
石名坂家住宅からさらに裏の路地へ回ると、同家の蔵が威容を誇っています。幕末の建築で、主屋と同じように内部の木材は漆塗り仕上げとなっています。 |
石名坂家の並びにある蔵 |
切妻の家並み |
明治以降に鉄道網が発達すると、加茂は廻船都市としての役目を終え、漁村になりました。切妻屋根の家が建ち並ぶ現在の町並みは、漁村時代に入ってから形成されたものでしょう。港には漁具を収めた板倉も残されていました。 |
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路地裏に古民家が密集する |
茅葺きの極楽寺 |
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2015年7月4日撮影 |