湯沢
ゆざわ

雪を切る切妻

湯沢城の城下町であり、羽州街道の街村でもあった湯沢には、武家屋敷や商家の連なる古い家並みが残されています。東北地方に多い切妻の家が、降りしきる雪を切り裂くかのようにたたずんでいるのが印象的でした。

【1】湯沢には大正以降の比較的新しい商家が多く、本2階建てで正面に前下屋を出したものを多く見かけます。
【2】柱と梁で化粧した妻壁が立派ですね。2階の手すりなど、細部まで丁寧に仕上げられています。
【3】こちらのお宅は妻面から桁を突き出し、重厚な印象です。

湯沢の古い町並みは羽州街道に沿って、南北およそ2キロの範囲に断続的に見られます。
北端にあるのが両関酒造の建築群。妻入りの事務所と平入りの住居、土蔵、その他の付属屋が密集し、この一軒だけで「町並み」と呼べる風景をつくり出しています。


両関酒造本館。1923(大正12)年築


両関酒造の建築群

両関酒造第二工場

両関酒造から南へ200メートル進んだところには、両関酒造第二工場の大建築がそびえてます。
そこからさらに南へ進むと、現代のビルや住宅に混じって、戦前の商家や土蔵が多く見られる町並みになります。


羽州街道と本荘街道の交差点に建つ桐谷呉服店


裏道にある雄勝郡会議事堂記念館

 


山内家住宅

田町の交差点を過ぎると切妻の商家が多く見られるようになります。その中の1軒、山内家住宅は昭和初期に建てられた2階建ての大型建築。妻面の化粧梁に目が向きがちですが、緑色の釉薬瓦、多数の庇、2階窓の手すりなど、装飾性豊かな賑々しい建築物です。


山内家の向かいに建つ奥山家住宅


切妻の家が多い


町並みの南端には一里塚が現存

羽州街道の一本東にある内町界隈はかつての武家町。武家住宅は現存しない様子ですが、道沿いの生垣や山内家住宅の薬医門、修景された板塀などが往時の面影をとどめています。
湯沢は街道沿いの商家町と城下の武家町というふたつの表情をいまに伝える、とても貴重な町です。


山内家住宅の薬医門


内町の町並み。部分的に修景されている


武家町に建つ大正時代の洋館、京野家住宅(奥)


【住所】秋田県湯沢市前森2・4丁目、柳町2丁目、田町1丁目、吹張1・2丁目、内町ほか(地図
【公開施設】両関酒造、雄勝郡会議事堂記念館

2014年12月31日撮


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