鵜養
うやしない

井堰と屋敷林と茅屋根と

秋田市の中心街から車でおよそ1時間。旧河辺町の鵜養は、古き良き日本の農村風景を残す集落です。

【1】鵜養の伝統民家の平面はコの字型。秋田・新潟・福島に多いL字平面の中門造りのバリエーションで、両中門と呼ばれます。(この写真は家を後ろから撮ったためコの字には見えません)。
【2】集落の中心を井堰が流れています。流れが速く、いまでも洗濯や野菜の泥落としなどに使われています。それぞれの家に小さな洗い場が設けられています。
【3】どの家も見事な屋敷林をもっています。

秋田市から車で1時間のところに、日本の里山のイメージをそのままかたちにしたような鵜養の集落があります。L字平面の中門造り、コの字平面の両中門造りの家々が、井堰や屋敷林、田んぼ、裏山と一体となって、実に美しい風景をつくり出しています。


上写真の民家を反対側(正面)から見たところ

もう1軒の茅葺き民家

鵜養では家の敷地の北から西にかけて、とくに厚く屋敷林を発達させています。訪れた日は穏やかな天候でしたが、風が強い地域なのでしょうか。それとも薪や油を取るためのものなのかもしれません。
集落の方に屋敷林の由来をおたずねしたのですが、秋田弁を聞き取れず、分かりませんでした。地方にお邪魔するときは、まずは言葉をマスターしなくてはなりませんね。


トタンで屋根が補修された家も多い


この家は屋敷林がよく発達していた

鵜養は「秋田県のがんばる農山漁村集落応援サイト」でも紹介されています。それによると、田んぼのオーナー制度化に向けたモニタリングが行われるなど、グリーンツーリズムの拠点としての活用が検討されているそうです。
鵜養の集落景観は、わたしが訪れた全国の農村集落の中でも五指に入るほど美しく、素朴で、いつまでも残ってほしいと思えるものでした。今度は冬に行ってみたいと思います。


土蔵、井堰、社が織りなす景観美

井堰には洗い場がある

茅葺きの納屋も数棟が残っていた


【住所】秋田県秋田市河辺岩見字鵜養(地図
【公開施設】なし

2013年7月15日撮影


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