飯塚
いいづか

家の切妻、酒蔵の切妻

飯塚は潟上市の最北端、八郎潟(はちろうがた)に注ぐ井川の左岸低地に位置します。醸造家の小玉(こだま)家の建築群を中心とする落ち着いた町並みが見られます。

【1】このあたりの家は秋田県の町場に多い切妻造り。妻壁の化粧梁が見事です。
【2】道の両側に家が並び、街村のような土地割を示していながら、どの家も石塀やブロック塀で敷地を囲んでいます。お屋敷町のような雰囲気です。
【3】町並みの中心を占めるのが小玉醸造の建築群。ここには5棟の仕込蔵が並んでいますが、どれも妻入りで、町並みに統一感を与えています。

飯塚は八郎潟に面した低地で、農村でありながら漁業も営まれてきました。幕末には当地に5件の酒造家がいて、明治から大正期にかけて小玉(こだま)醸造と飯田川(いいたがわ)酒造の2社に統合整理されました。現在の飯塚の町並みは、このうち小玉醸造の建築群によって構成されています。(飯田川酒造はその後、12社合同で秋田酒類製造を設立)


飯塚の旧道の町並み

小玉醸造の事務室棟

小玉醸造は1879(明治12)年の設立。酒蔵や味噌蔵、仕込蔵などの大型建築を旧道に並べ、圧巻の町並みを見せています。現在も操業を続けていますが、2009年には大正時代のレンガ蔵をギャラリーとして改装し、再活用を図っています。


手前が冷蔵貯蔵庫、奥が味噌工場


5棟の仕込蔵が並ぶ

小玉家住宅

また、小玉醸造から南へ100メートルほどのところには、1923(大正12)年に同家が建てた小玉家住宅があります。接客空間としても使われ、秋田杉の良材を用いた当時最高級の住宅建築として、国の重要文化財の指定を受けています。

小玉家住宅は四角形の敷地をぐるりと水路がめぐって、まるで小さな城塞のようです。ほかにも飯塚の旧家には、敷地を石塀やブロック塀で囲み、前庭の奥に主屋を建てたものが見られました。このため街道に沿った街村的な町並みでありながら、武家屋敷町にも似た独特の印象を受けました。


小玉家住宅の路地。幅広の水路がめぐる


妻壁に梁を見せた家が目立つ


入母屋屋根の住宅


【住所】秋田県潟上市飯田川町飯塚(地図
【公開施設】小玉醸造(ブルーホール、蔵)

2015年11月8日撮


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