塩竈
しおがま

黄色い石は塩竈石

塩竈は陸奥国の一の宮、鹽竈(しおがま)神社の門前町。古い商家や酒蔵、そして地元産の黄色い石を使った石蔵などが残っています。

【1】塩竈では、土台や外壁に黄色味がかった石を使った建物が見られます。地元で採れる塩竈石で、加工しやすいことから建材として好まれました。
【2】古い食事処や甘味処、土産物屋が点在し、神社門前町としての雰囲気をかもし出しています。
【3】水害対策なのでしょう、柱の基部に20〜30センチほどの束石(つかいし)を入れた建物もあります。

塩竈は古代より陸奥国府(国庁)多賀城の外港として発展しました。沖合いは松島へ続く多島海となっていて、その景観美は多賀城に入城する者の目を楽しませ、当時松島は「塩竈ノ浦」と呼ばれていました。そんな立地のおかげで鹽竈神社への参詣者も絶えず、この地は有史以来多くの人々で賑わったようです。


鹽竈神社から遠望する「塩竈ノ浦」

鹽竈神社拝殿

鹽竈神社の創建について確かなことは伝わっていませんが、社名は平安時代の記録にも登場します。現在の社殿が整えられたのは江戸時代前期。仙台藩主の伊達家が篤く崇拝し、代々造営を行いました。朱塗りの拝殿は寛文3(1663)年の建造で、その背後に、宝永元(1704)年に完成した同形の2つの本殿が並びます。


鹽竈神社本殿。左宮(さぐう)と右宮(うぐう)の2棟が並ぶ

この神社の門前に歴史的建造物が散在しています。
参道脇にある亀井邸は1924(大正13)年の建造。当時流行した和館と洋館を連結させた形式で、同じくはやりのアールヌーヴォー、ゼツェッション(ウィーン分離派)などの装飾が採り入れられているとのことです。一般公開施設なのですが、早朝の訪問となったため、門の外から和館の一部を拝むことしかできませんでした。


亀井邸

塩竈石の石蔵
参道の下には商家や酒蔵が見られます。このあたりは住宅や事業所が多く、いまでは仙台市から続く市街地の一部になっていますが、かろうじて門前町の雰囲気をとどめています。塩竈で目につくのが石材。基礎部分や側壁を切石積みとしたものや石蔵などが見られます。多くは塩竈石と呼ばれる黄色味がかった凝灰岩です。
以前は石造の洋風看板建築もありましたが(旧高橋ベニヤ店)、東日本大震災(2011年)で損傷し、その後解体されました。

側壁を石積みとした商家

登録有形文化財、丹六園
木造商家を見ていて気になったのが、束石の高い家が多いこと。これは漁家などに見られる特徴で、浸水時に柱が水に浸からないようにするための措置です。塩竈は海沿いの低地ですから、おそらく高潮対策としてこうしたつくりになったのでしょう。

束石の高い家


【住所】宮城県塩竈市本町、宮町
【公開施設】亀井邸

2014年5月19日撮影


戻る