豊間根
とよまね

生垣の緑は香る

山田町の豊間根は浜街道の宿駅が置かれた地。旧道に並ぶ妻入りの家々に宿場町の残り香が漂います。

【1】ほぼ一直線の道沿いに、間隔を開けて妻入りの家が並びます。福島県の諸街道で見られる宿場町と同じ構成です。
【2】軒下は出桁(だしげた)造りとしています。
【3】生垣がとても見事でした。樹種はイヌマキのようです。

気仙沼から三陸海岸に沿って北上する浜街道。その原型は古代にさかのぼるといい、現在では国道45号線に受け継がれています。
天和年間(1681〜84)、浜街道の閉伊(へい)郡内には20の宿駅がありました。豊間根はそのひとつで、津軽石(現・宮古)と山田のほぼ中間に位置します。


軒下は出桁造りとする

現在の豊間根では、国道に併走するように旧道が走っています。JR山田線の豊間根駅から、ほぼ一直線に南東へ向かうこの道沿いに、昔の宿駅を思わせる町並みが展開しています。


植栽が見事な家が多い

豊間根の家はほとんどが妻入りの平屋建て。屋根は入母屋造りですが、切妻屋根の四周に下屋を出し、入母屋風にしている家もありました。隣家との間隔も広く取られていて、一見すると農村のようであることも特徴でしょう。何となく、福島県の宿場町を思わせる町並みでした。


L字平面の家

現存する民家の中には戦前のものもあるのでしょうが、建築に関する情報は見当たりませんでした。左の家はL字型ですが、増築によってこうなったのか、それとも岩手県に多い曲がり家の系譜を引いているのでしょうか。
ほかにも懸魚(げぎょ)をもつ家や土蔵、板張りの納屋など、全体的に古建築の多く見られる町並みでした。


通りに面して建つ土蔵


懸魚のある家


【住所】岩手県下閉伊郡山田町豊間根第6地割、第7地割(地図
【公開施設】なし
【参考資料】
『日本歴史地名大系(3)岩手県の地名』平凡社、1990年
『角川日本地名大辞典(3)岩手県』角川書店、1985年

2015年8月2日撮


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