大野
おおの
二街道の結節点
九戸街道と八戸街道の結節部に開けた町が大野です。かつては内陸と三陸海岸を行き交う人々で賑わい、宿場が形成されていました。 |
【1】大野中心部を北から南へ向け撮りました。画面奥から大野へ入り、この角を向かって右に曲がる道が九戸街道です。岩手県北部の内陸と沿岸部を結びます。 |
岩手県北部から青森県南東部にかけての内陸では、ときどき驚くような街村景観に出合います。大野もそのひとつで、大規模な町家が点在し、古くから賑わった土地柄であることをしのばせます。 |
九戸街道沿いの町並み |
イベントの会場になった大黒屋 |
大野は木工の里として全国的にその名を知られていましたが、町なかに歴史的建造物が多く残されていることをいち早く見出したのが、おそらく東京大学の都市デザイン研究室でしょう。同研究室では住民や行政とともに2000年ごろから町づくりに着手し、町家、米蔵、空き地などを活用して賑わいを創出する「大野夢市」というイベントも開催しました。 |
また、研究室では2000年に「コミュニティ消防センター事業」を展開し、大野の町家をモデルにした消防センターを建設。緩やかな屋根勾配と、中の消防車を見せる格子戸が特徴です(右写真)。 |
コミュニティ消防センター |
八戸街道沿いの町並み |
わたしが大野を訪ねたのは、これら一連の取り組みから10年以上が過ぎた2015年秋でした。「大野夢市」の舞台となった大黒屋は、八戸街道と九戸街道の結節点にたたずんでいましたが、全体的に町家が活用されているようには見えませんでした。木工体験などができる観光施設「おおのキャンパス」は健在ですが、この古い町並みがもっと注目されればいいのに、と思いながら町をあとにしました。 |
八戸街道沿い。妻入りの家もある |
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