紺屋町
こんやちょう

文化の交錯する県都

盛岡は県都でありながら、中心街に多くの歴史的建造物を残しています。県庁にほど近い紺屋町には、町家と洋館が混在する町並みが見られます。

【1】紺屋町を彩るのが洋風建築。この紺屋町番屋は1913(大正2)年、消防番屋として建てられたもので、望楼が目印です。
【2】1階正面に下屋を出した盛岡町家が見られます。しかし紺屋町は町並みとしては断続的で、鉄筋造のビルも林立しています。
【3】観光案内の道標は、上の橋の擬宝珠がモデル。上の橋にはいまも慶長14(1609)年銘の擬宝珠が8基、慶長16年銘のものが10基あり、全国的にも例の少ない文化財として知られています。

紺屋町は中津川左岸に南北に位置する町。川の対岸には県庁や市役所があり、文字通り岩手県の中心と呼べる場所にあります。そんな立地でありながら歴史的な建築物が多く、文化施設も点在することから、盛岡観光では外せないエリアとなっています。


紺屋町の旧第九十銀行

旧盛岡銀行本店

町の入口にそびえるのが赤レンガの旧盛岡銀行本店。東京駅の設計で知られる辰野金吾と、盛岡出身の建築家・葛西萬司の合作で、1911(明治44)年に竣工しました。いわれてみれば、ドーム屋根から方形屋根までの連なりや、赤レンガに白い花崗岩を織り交ぜた外壁などは東京駅に似ていますね。

旧盛岡銀行の建つ交差点から北へ向かうと、道が「く」の字型に折れるところに町家が建っています。茣蓙九(ござきゅう)商店で、江戸時代後期に創建後、明治中期と明治後期に相次いで増築されました。この家、何といまも雑貨屋として営業しています。(現在の屋号は森九商店)


見どころは何といっても屈曲部

茣蓙九商店

紺屋町番屋

茣蓙九を通り過ぎ、最初の交差点には紺屋町番屋がそびえています。さらに北へ進むと菊の司酒造の白壁土蔵。そして道の突き当たり、丁字路の右手には黒しっくい塗りの商家、旧井弥商店が建っています。


菊の司酒造


旧井弥商店

紺屋町界隈は東北地方きっての歴史地区ですが、しかし、町並みの連続性はそれほどよくありません。それ1軒で「町並み然」としている茣蓙九も、北に電力会社、南に病院のビルに挟まれ、何とも窮屈そう。それでも現代の県都の中心地にこれだけの建築物が残されていることは特筆に価すると思います。


紺屋町の町家


【住所】岩手県盛岡市紺屋町、上ノ橋町、中ノ橋通1丁目(地図

【公開施設】もりおか啄木・賢治青春館(旧第九十銀行)

2002年3月、2013年2月9日撮影


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