伊保内
いぼない

深い軒と片側うだつ

伊保内は戦国武将の九戸氏が居館を構えた土地。古くから九戸地方の中心地で、江刺家(えさしか)村、伊保内村、戸田村の3村合併で生まれた九戸村の役場も当地にあります。

【1】国道沿いに建つ家はほとんどが平入りの2階家。屋根の軒は深く、下はせいがい造りになっています。
【2】この家も伝統的な商家ですが、正面が看板建築として改装されています。同様に改装された商家は伊保内にたくさんあります。
【3】この部分は屋根ではなく、うだつです。しかもこの家、向かって右側(北側)にのみうだつを設けています。こうした家も伊保内では数軒見られました。

東北新幹線の二戸駅から九戸村営バスでおよそ40分。北上高地のただなかにある九戸村は木炭生産の盛んな土地で、一面が農山村地域になっています。しかし中心部の伊保内に入ると、道の両側に木造2階建ての商店が立ち並び、風格ある街村景観を見せてくれます。

伊保内は本2階建ての平入り民家が並ぶ街村です。それぞれの家は互いに似通っていて、たとえば2階正面は全面を窓とし、出窓とする家が多く見られます。雨戸袋に屋号を入れた家も散見されました。


しっくいで屋号を入れた雨戸袋

2階を出窓とした家が3軒並ぶ

二重せいがい造りの家が2軒並んでいた

屋根裏は梁をせり出し、せいがい造りとしています。中には二重せいがい造りとした家もありました。こうした凝った構造を見せる町家は、岩手県内陸部のひとつの特徴だと思います。


左写真の家の全景
もうひとつ、伊保内で特徴的だと思ったのが、うだつです。うだつは妻側の壁を屋根よりも高く上げたもので、ふつうは家の両端にしつらえます。ところが伊保内では、うだつを確認できた3軒とも片側にのみ設けていました。しかも、そろいもそろって北側でうだつを上げているのです。この理由をご存知の方は、ぜひご一報ください。


片側にのみうだつを上げた家


この家も片側うだつ


2階の造作が細やかな家も多い。これはトップ写真「1」の家


看板建築が連なる一画


通りに面して土蔵を建てる。右端はトップ写真「2」の商家


【住所】岩手県九戸郡九戸村伊保内(地図
【公開施設】なし

2015年8月2日撮影


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