福岡
ふくおか

みちのく街道町家群

福岡は、かつて戦国武将の九戸氏が居城を構えた地。現在は二戸市役所が建つ市の行政拠点で、県道沿いには町家が連なり、当地の長い歴史を物語っています。

【1】登録有形文化財の黒沢治助(ちすけ)商店店舗。大正時代の建築です。福岡ではこのような平入りの商家が断続的に見られます。
【2】店舗に寄り添うのは昭和前期に建てられた倉庫。平入りの商家と妻入りの付属屋のペアがよく見られます。
【3】擬洋風建築も建っていました。

福岡は二戸市の中心街。かつては独立した自治体で、二戸市じたい、1972(昭和47)年に福岡町と金田一村が合併して成立しています。これにより四戸を除く「九か戸」の自治体名がそろい、富山県の福岡駅に対して「北福岡駅」と称した駅名も、1987年に二戸駅に改称されました。(四戸に関しては弊サイト青森県の「浅水」を参照)


福岡の町並み

連続性はないが、古い町家が点在

歴史的には、南部氏の家臣だった九戸氏が、鹿角(かづの)方面の戦功によってたまわった土地で、戦国時代の終わりごろに九戸城を築城。長興寺(現・九戸村)よりここへ拠点を移し、奥州が豊臣政権下に置かれるまでの間、支配しました。しかし九戸氏の進出時期については70年ほどの幅で諸説があるようで、はっきりしません。

当地はまた奥州街道の宿場町としても栄えました。福岡宿は江戸から数えて97番目で、一戸宿の次の宿場でした。現在、江戸期にさかのぼる建築はなさそうでしたが、前面に格子を入れた町家などが点在し、落ち着いた町並みを見せていました。


東北北部に多い火の見櫓のある一角


土蔵造りの家


古い町家と3階建ての近代建築

黒沢治助商店

福岡でひときわ目をひくのが黒沢治助商店です。店舗、主屋、蔵、倉庫など一連の建物が国の登録有形文化財になっています。しかし商店としての由緒など、詳しいことは分かりませんでした。


【住所】岩手県二戸市福岡(地図
【公開施設】なし
【参考資料】
『角川日本地名大辞典(3)岩手県』角川書店、1985年

2015年11月23日撮影


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