脇元
わきもと
青森ヒバの使い道
奥津軽の最果ての集落のひとつが脇元。日本海の岸辺に並ぶ家々は、風の抵抗を減らすためほとんどが平屋です。 |
【1】集落のすぐ目の前が日本海。1年を通じて風が吹きつけますが、とくに厳しいのが冬。地吹雪もよく起こります。夏は気候は穏やかですが、塩害に苦しめられてきました。 |
脇元は津軽半島の北西のはずれにある過疎の集落。この地で旅情を引き立ててくれるのが板塀のカッチョです。カッチョがいつごろから組まれるようになったのかは分かりませんが、鎌倉時代後期にさかのぼる十三湊(とさみなと)遺跡から、カッチョの原型と思われる板塀が見つかっています。 |
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もともとカッチョは茅を立ててつくっていました。現在のような板塀が生まれたのは比較的新しいようで、青森ヒバ(アスナロ)が津軽地方の主要産物として普及したころ、製材後の残材を使って塀をこしらえたことに始まるそうです。 最近では製材された杉板などを立てかけることも多く、集落景観にも少しずつ変化が生じています。 |
カッチョは冬の季節風を除けるためのもので、津軽半島各地では夏は取り外すのが一般的。(ただし近年は高齢化の影響で取り外しに難儀し、年中付けっぱなしのことも少なくありません)。 |
カッチョではなく、石垣やブロック塀で家を守っているところもある |
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ところが日本海岸の脇元では夏場も潮風が吹き込み、古くから塩害に苦しめられてきました。そのため脇元のカッチョは家のほか畑を守るためのものでもありました。こうした土地柄を考えると、脇元のカッチョは伝統的に通年設けられてきたのかもしれません。 |
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間取りや内部のデザインも気になるが、一般公開されている民家はない |